<新興国eye>前週のブラジル株、カサス救済合意や米早期利下げ観測再燃を受け続伸=BRICs市況

新興国

2024/5/7 8:55

 前週(4月29日-5月3日)のブラジル株式市場は3日のボベスパ指数が前日比1.09%高の12万8508.67、週間ベースでも26日終値比1.57%高となり、続伸した。

 週明け29日は指数が上昇。翌30日は3営業日ぶりに反落した。1日は「レイバーデイ」の祝日で休場。取引が再開された2日は反発。

 週前半は、資金繰りが悪化していた家具・家電小売りチェーン最大手カサス・バイアが41億レアルの債務返済をめぐり、利払い免除や返済期間の延長などの債務再編で債権者と合意したことを受け、30%超急騰、上げをけん引した。その後は、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策決定会合を控え、買いが慎重となる中、売りが優勢となった。FRBの会合前、安全資産の米国債に投資資金が流れたことや、3月の雇用者数が前年比約26%増と、急増したことを受け、ブラジル中銀が利下げペースを遅らせるとの懸念が強まったことが背景。

 週後半は、休み明け後、取引が再開され、FRBが予想通り、金利据え置きを決めたあと、ジェローム・パウエル議長が会合後の会見で、最終的に遅れても新たな利上げを意味するものではないとの見解を示したことが好感され、買いが優勢となった。また、米信用格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスがブラジルのソブリン債格付けをジャンク級(投機的)の「Ba2」に据え置いたものの、格付けを引き上げ方向で見直す可能性がある「ポジティブ」に引き上げたことも支援材料となった。

 週末3日は続伸。米4月雇用統計が予想以上に弱い結果だったことを受け、米利下げ開始が早まるとの観測が再燃、買いが一段と強まった。

 今週(6-10日)の株式市場は、中東紛争やウクライナ情勢、西側の対ロ制裁などの地政学的リスク、台湾情勢や米中関係の悪化懸念、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、ルラ政権の経済・財政・税制政策、ブラジル中銀の金融政策決定(8日)も注目される。

 主な経済指標の発表予定は6日の3月財政収支と4月S&Pグルーバル・ブラジル非製造業PMI(購買担当者景気指数)、7日の4月貿易収支、8日の3月小売売上高と4月ジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)IGP-DIインフレ指数(全国卸売物価指数)、4月自動車生産・販売台数、10日の4月IPCA(拡大消費者物価指数)など。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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