【為替本日の注目点】ドル円は151円台後半から反発し154円に迫る

為替

サーチナ

2024/5/7 10:54

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は先週末に発表された4月の雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を下回ったことで151円86銭まで売られた。この日は反発し、154円までドルが買い戻される。ユーロドルは1.07台で小動き。株式市場は3指数が揃って3日続伸。利下げへの楽観的な見方が広がる。S&P500は3日間で160ポイントを超える上昇。債券は買われ、長期金利は4.48%台に低下。金は小幅に続落。原油は5日続落。中東情勢の改善と原油在庫の増加が材料となる。

マーケット情報

ドル/円 153.43 ~ 154.00

ユーロ/ドル 1.0767 ~ 1.0790

ユーロ/円 165.51 ~ 165.99

NYダウ +176.59 → 38,852.27ドル

GOLD -1.00 → 2,308.60ドル

WTI -0.84 → 78.11ドル

米10年国債 -0.020 → 4.487%

本日の注目イベント

豪 RBA、キャッシュターゲット

中 中国 4月外貨準備高

独 独3月製造業新規受注

独 独3月貿易収支

独 独3月経常収支

欧 ユーロ圏3月小売売上高

米 3月消費者信用残高

米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会に参加

 ドル円は160円台で介入と見られるドル売りが観測され、その後も157円台でも同様の動きがあったことから下げ足を速め、先週末のNYでは一時151円86銭までドルが下落しています。この間の下げ幅は8円36銭(約5.2%)と、かなりの下げ幅になっています。筆者も152円台では介入があると予想し、その後も155円、160円ではそれぞれ介入の確率がかなり高まったと考えていましたが、結局日本がGW中の29日、円が160円台まで売られた際に、それらしき行動に踏み切ったようです。やや当局の動きが遅かった感は否めません。もっとも、その後の下げは4月の雇用統計が加速させた部分もありました。同月の雇用統計では、非農業部門雇用者数(NFP)が予想の「24万人」に対して「17.5万人」と、大きく下回ったことがドル売りにつながりました。また、4月のISM非製造業景況指数が、拡大・縮小の分かれ目である「50」を割り込んだことも「利下げ期待」を高めています。

 労働市場は3月までは驚くほど堅調に推移していました。この間のNFPは3回全てが市場予想を上回る結果をたたき出しており、特に1月は市場予想の「18.5万人」に対して、ほぼ倍の「35.3万人」でした。今回4カ月ぶりに予想を下回る結果となりましたが、その内容にも変化が見られるようです。その一つがフルタイム労働者の減少です。「フルタイムが2カ月以上連続してマイナスになったのは統計のある1969年以降で9回しかなく、1回を除いて全て景気後退だったと認定された。この期間に8回あった全ての景気後退はフルタイムの働き手の減少を伴っていた」(日経新聞)雇用が伸びているのは「パートタイム」の増加で、この状況が続けばこの先に起こるは、「雇用全体の伸びが減少する」と、専門家は分析しています。

 先週もこの欄で述べましたが、市場は常に先を読みオーバーシュートします。好調な経済指標の発表が相次ぎ、年内の利下げ期待が遠のき、中には利上げ観測までも出て来る状況でした。今回のNFPの伸びの鈍化とISM非製造業景況指数の下振れで、再び利下げ観測が台頭してきました。NY連銀のウィリアムズ総裁は6日LAでのカンファレンスで、「データは予測不可能な形で上下する可能性がある」と指摘し、「過去1年半に見られた兆候は概ね良好だったが、政策当局者としては、経済のバランスを回復させるという点で、インフレがわれわれの望む方向に進んでいるという証拠をさらに目にする必要がある。そして、それに基づいてわれわれは決定を下すことになる」と、利下げはいずれ実施されるという見方を示しました。リッチモンド連銀のバーキン総裁は、さらに利下げに対し楽観的な見方を示し、「現行の景気抑制的な金利水準が需要を抑制できると、私は楽観している。金利上昇の本格的な影響はこれから表れる」と説明しています。利下げ期待の台頭でNY株式市場は3指数が3日続伸し、インフレ阻止が可能だとの見方に金は下げ基調に変わってきたようにも思えます。

 このように市場のコンセンサスも「利下げなし」から「利下げ有り」に変わりつつあり、これが今後ドルの上値を抑える可能性もあります。一方、金利差は依然として大きく劇的には変化しないとの見方から、引き続きドル高傾向は続くという見方も当然あります。今後のデータを見極める必要がありますが、テクニカル分析では上昇トレンドに変化は見られるものの、基本は変わっていません。今回の急激な下げも、昨年12月27日の140円台を記録した底値を起点にした「サポートライン」に下落を止められた形になっています。

 本日のドル円は153円~155円程度でしょうか。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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