FOMC、9委員が政策金利現状維持を支持、1人は利下げを主張

FOMC

2019/6/20 11:28

<チェックポイント>

●「経済成長を持続させるため、適切な行動を取る」の文言追加

●米中貿易戦争激化で「先行き不透明感高まった」と景気見通しを下方修正

●委員17人中9人が年内1回、7人が年内2回の利下げ予想―前回利下げ予想ゼロ

 FRB(米連邦準備制度理事会)は19日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、市場の予想通り、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を2.25%-2.50%に据え置くことを決めた。しかし、投票権を持つ10人の政策委員のうち、ブラード・セントルイス連銀総裁だけが0.25ポイントの利下げを主張した。18年2月にパウエル議長が就任して以降で政策決定が全員一致でなかったのは初めて。

 FOMC後の声明文で、今後の金融政策について、前回会合時まで使われていた、「今後、どんな調整が適切かという金融政策の決定に対し、われわれは辛抱強く(patient)対応する」との文言を削除し、「米国の経済見通しに与える影響を注視し、経済成長を持続させるため、力強い雇用市場とシメントリック(上下が対称)な2%上昇の物価目標の達成に向け適切な行動を取る」との文言を追加した。

 米債市場ではFOMC決定の発表直後、10年国債利回りが16年11月8日以来約3年ぶり低水準の2.023%に急低下し、次回7月30-31日開催FOMCでの利下げをほぼ織り込んだ。

 また、景気の現状認識について、「経済活動は緩やかな伸び(鈍化)になっている」とし、前回会合時の「経済活動は堅調な伸び」から下方修正した。景気見通しについては、世界景気の減速や米中貿易戦争が長期化し激化する中、「先行き不透明感が高まった」との文言を追加し、景気懸念を示した。

 パウエルFRB議長は会合後の会見で、「米経済の標準予測は依然好ましいものだが、問題はこれら(世界経済の減速や貿易)の先行き不透明感が今後も景気見通しを下ブレさせ、追加の金融緩和政策を必要とするかどうかだ」との見解を示した上で、「多くのFOMC委員は現在、金融緩和政策をやや強める正当性が強まったとみている」、「予防は治療に勝る」などと述べ、先制利下げの可能性を示唆した。

 インフレの先行き見通しについては、前回会合時と同様、「インフレ率がシメントリック(上下が対称)な物価目標の2%上昇近辺に達する可能性が最も高いとみている」とした。

 政策委員10人を含む17人のFOMC委員による最新の経済・金融政策見通しは、FF(フェデラル・ファンド)金利水準の予測を示す「ドット・プロット」の中央値は、19年が2.4%(前回3月予測時点は2.4%)、20年は2.1%(同2.6%)、21年は2.4%(同2.6%)、いわゆるニュートラルな金利水準(中立金利)とする長期見通し水準は2.5%(同2.8%)となった。19年の中央値は2.4%と、前回と変わっていないが、レンジ予想では1.9-2.4%(同2.4-2.6%)と引き下げられた。また、年内の利下げ回数(0.25ポイント利下げを1回分として計算)は17人中、9人が1回、7人が2回を予想。残りの1人は利上げを予想した。

 GDP(国内総生産)見通しは、19年が2.1%増(前回は2.1%増)、20年も2.0%増(同1.9%増)、21年は1.8%増(同1.8%増)と20年だけが上方修正された。長期見通しは1.9%増に据え置かれた。失業率は19年が3.6%(同3.7%)、20年は3.7%(同3.8%)、21年は3.8%(同3.9%)といずれも引き下げられた。長期見通しも4.2%(同4.3%)に引き下げられた。

 また、FRBが重視しているコアPCE(個人消費支出)物価指数は、19年が1.8%上昇(同2.0%上昇)、20年は1.9%上昇(同2.0%上昇)、21年は2.0%上昇(同2.0%上昇)と、19年と20年が引き下げられ、いずれも物価目標の2%上昇を下回っている。長期見通しはPCE物価指数(全体指数)で2.0%上昇に据え置かれた。

<関連銘柄>

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提供:モーニングスター社

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