<世界株安>NYダウ一時960ドル安超、人民元ショックをどう見る
下げ止まりは米株次第、9月FOMC焦点に
◎三菱UFJモルガン・スタンレー証券 三浦誠一投資ストラテジスト
米中摩擦への懸念と米国の継続利下げへの期待後退を背景に、世界的に株安傾向が強まっている。日経平均株価についてはひとまず6月4日に付けた直近安値(2万289円)の攻防と思われたが、これを割り込みそうだ。
世界株安が一巡するかは、究極的には米国株が下げ止まるかということにかかっている。リスクオフのきっかけとなったトランプ米大統領のツイート(中国製品3000億ドルへの関税発動の意向)は、追加利下げに必ずしも前向きではない姿勢をみせたパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長への揺さぶりとも考えられる。これまでもトランプ大統領による中国へのけん制は、FRBの金融政策のスタンスに影響を与えてきた。
相場は今後、9月17、18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)を意識する展開となるだろう。いったん後退した追加利下げへの期待は、再び高まることが予想される。ただ、次にはしごが外されることになれば、株は大幅調整を余儀なくされる可能性がある。
人民元安は米中摩擦の新ステージ、転機は9月国連総会か
◎りそな銀行 黒瀬浩一チーフ・マーケット・ストラテジスト
米中貿易戦争をめぐっては、トランプ米大統領がツイッターで中国への強硬スタンスを示し、しばらくしてから歩み寄りの姿勢を見せるというパターンを繰り返している。株価もそれと連動してきた。今回も転機はトランプ大統領の次の動きだろう。日経平均は2万円割れも視野に入った。
9月にはニューヨークで国連総会が開催(17~30日)され、トランプ大統領、中国の習近平国家主席ともに出席する。首脳会談があるとすればこのタイミングではないか。それに先立ち、トランプ大統領が好意的な言動を示せばリスク回避ムードも急転換するだろう。
ただし、今回の局面では中国の通貨・人民元が対ドルで急落している点に注意する必要がある。中国が人民元安を容認するのであれば、米国が中国製品の関税を引き上げようとも輸入を制限する効果は薄くなる。そうなると両国の貿易戦争は新たなステージを迎え、世界経済は一層混迷を深める恐れがある。
(イメージ写真提供:123RF)
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