FOMC、賛成多数で0.25ポイント追加利下げを決定

経済

FOMC

2019/9/19 10:29

<チェックポイント>

●1委員が0.50ポイント利下げ主張、2委員は追加利下げに反対

●金融政策見通し21年以降利上げ局面を示唆

●量的金融緩和再開観測強まる―市場で流動性懸念が浮上

 FRB(米連邦準備制度理事会)は18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、市場の予想通り、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を0.25ポイント引き下げ、1.75-2.00%とすることを決めた。前回7月FOMCに続いて2会合連続利下げとなる。

 ただ、全員一致ではなく、10人の政策委員のうち、ジョージ・カンザスシティー連銀総裁とローゼングレン・ボストン地区連銀総裁の2委員が前回会合時と同様に現状維持を主張し、利下げに反対した。一方、利下げを支持した8人のなかで、ブラード・セントルイス連銀総裁だけは0.50ポイントの大幅利下げを主張した。

 今回の会合では金融市場の流動性不足に対応するため、19日からニューヨーク連銀がオペのために管理する口座「システム・オープン・マーケット・アカウント(SOMA)」を通じて、FF金利を目標レンジ(1.75-2.00%)に維持するため、必要に応じ、貸借期間がオーバーナイト(翌日物)または、1日以上の現先オペを実施することも決めた。レートはFF金利の誘導目標の下限を0.05%下回る1.70%としている。

 市場では利下げ継続よりも流動性の潤沢供給を確保する政策に関心が移っており、市場の一部ではFRBは量的金融緩和(QE)を再開し、10月から最大で月140億ドル規模の国債買い取りを開始すると見方が一部で出ている。

 一方で、前回会合で決定したバランスシート縮小(国債・MBS買い取り減額)の継続も確認した。

 また、19日から流動性対策として、超過準備預金金利を従来の2.10%から1.80%に0.30ポイント引き下げることも決めた。

 FRBは会合後に発表した声明文で、今回の追加利下げについて、前回会合時と同様、「世界経済の(減速)見通しとインフレ圧力の鎮静化に鑑み0.25ポイント利下げを決めた」とした。

 景気の現状認識については、前回会合時と同様、「経済活動は成長を持続し、力強い雇用市場が続いている」としたが、「経済活動は緩やかな伸び(鈍化)になっている」との文言を据え置いた上で、新たに「輸出が鈍化している」との文言を加えた。

 今後の金融政策については、「米国の経済見通しに与える影響を注視し、経済成長を持続させるため、力強い雇用市場とシメントリック(上下が対称)な2%上昇の物価目標の達成に向け適切な行動を取る」との文言を残し、追加利下げの可能性に含みを持たせた。

 インフレの先行き見通しについては、前回会合時と同様、「インフレ率がシメントリックな物価目標の2%上昇近辺に達する可能性が最も高いとみている」との文言を残した。ただ、現状認識については前回会合時と同様、「インフレ率は全体指数とコア指数がいずれも減速し、物価目標の2%上昇を下回っている」とした上で、「市場のインフレーション・コンペンセーション(期待インフレ率)は変わっていない」とし、インフレ率が物価目標を下回り続けていることに懸念を示した。

 17人のFOMC委員による最新の経済・金融政策見通しによると、FF金利水準の予測を示す「ドット・プロット」の中央値は、19年が1.9%(前回6月予測時点は2.4%)、20年も1.9%(同2.1%)、21年は2.1%(同2.4%)、22年は2.4%とし、いわゆるニュートラルな金利水準(中立金利)とする長期見通し水準は2.5%(同2.5%)。21年以降は利上げ局面に転じる見通しが示唆されている。

 一方、市場では米中貿易摩擦の激化による米景気の減速を阻止するためには、7、9月に続いて年内にあと1回(今年3回目)の利下げが必要とみている。

 パウエルFRB議長はFOMC後の会見で、「マイナス金利は金融危機時に見られたものだが、われわれはそうしないことを選択した」とし、さらに、「われわれが将来、(景気が悪化し)ELB(政策金利の事実上の下限でマイナス金利)に直面した場合には、大規模な資産買い取りと、(低金利の継続期間を明示するなど市場と対話を行い、金利上昇圧力を軽減する)フォワードガイダンス(時間軸政策)を用いる」と述べた。

 次回会合は10月29-30日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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