<新興国eye>インドネシア中銀、0.25ポイント追加利下げ―市場予想通り

新興国

2019/9/20 12:33

 インドネシア中央銀行(BI)は19日の理事会で、主要政策金利の1週間物リバースレポ金利を0.25ポイント引き下げ5.25%とすることを決め、即日実施した。市場の予想通りだった。

 また、中銀は過剰流動性を吸収するための翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)は4.50%に、翌日物貸出ファシリティー金利は6.00%に、いずれも同率引き下げられ即日実施された。

 中銀は17年10月から18年4月まで7会合連続で政策金利を据え置いたが、同5月ごろからルピア安が急速に進行したため、ルピア安と国内からの資金流出の阻止を狙って、5月の定例会合と同30日の臨時会合に続いて、6月、8月、9月、11月と18年だけで計6回の利上げを実施。利上げ幅は計1.75ポイントに達した。同12月から据え置きに転じ、19年6月まで7会合連続で据え置いたが、7月に18年11月以来8カ月ぶりに利下げに踏み切り、利下げは前回8月会合に続き3会合連続となる。

 中銀は会合後に発表した声明文で、追加利下げを決めたことについて、前回会合時と同様、「19年のインドネシア経済の成長率は5-5.4%増の前半(5-5.2%増)となる」と短期的に景気の先行きに懸念があるとした。20年までには5.1-5.5%増の中心値(5.3%増)に加速するとみている。

 その上で、「利下げは世界経済が減速する中、インドネシア経済の成長の勢いに刺激を与える予防的な措置として、また、海外からの国内金融資産への投資を呼び込む目的とも合致する」、「利下げはインフレが物価目標の中心値(3.5%上昇)を下回る低水準になるとの見通しとも合致する」と指摘。追加利下げが世界経済減速の悪影響からインドネシア経済を守り、成長を維持する予防的措置であることを強調した。

 金融政策の見通しについては、「低インフレの見通しや外部リスク要因が安定していること、さらには、経済成長の勢いを高める必要性に鑑みて、引き続き金融緩和的なポリシーミックス(複数の経済政策手段の一体運営)を講じる」とし、利下げや金融規制の緩和策などの政策ミックスを進める考えを示した。

 インフレ見通しについては、前回会合同様に「8月のインフレの全体指数は前年比3.49%上昇と、7月の同3.32%上昇からやや加速したが、インフレ率は依然、低く安定した水準に抑制されている」と楽観的な見方を示した。その上で、中銀は19年のインフレ率が物価目標の中心値(3.5%上昇)を下回り、20年には物価目標のレンジ(2-4%上昇)内に抑制されるとの見方を据え置いた。

 過去の連続利上げの根拠となっていた通貨ルピア相場の下落懸念については、「9月のルピア相場は8月から1%上昇しており、9月18日時点で年初来で2.3%高となっている」とし、その上で、「ルピア相場は市場原理に従って安定している」とルピア安懸念が後退しているとの見方を示した。

 次回の金融政策決定会合は10月23-24日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 アジア債券<1349.T>、iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>、

 iSエマジン<1582.T>、アセアン50<2043.T>

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