<新興国eye>インド準備銀行、0.25ポイント利下げを決定―市場予想通り

新興国

2019/10/7 12:20

 インド準備銀行(RBI)は4日、金融政策決定会合を開き、流動性調節ファシリティ(LAF)の主要政策金利であるレポ金利(RBIの市中銀行への翌日物貸出金利)を0.25ポイント引き下げ5.15%とすることを決定。即日実施された。インフレ率が依然物価目標を下回っている一方で、景気後退懸念が強まっていることに対応した。

 今回の利下げは全員一致で支持されたが、利下げ幅を巡っては5人の委員が0.25ポイントとした一方、1人の委員が0.40ポイントを主張した。市場の大方の予想は0.25ポイントの小幅利下げだった。

 また、レポ金利の引き下げに伴い、LAFのリバースレポ金利(市中銀行のRBIへの預金金利)を4.9%に、また、市中銀行が資金ひっ迫時にRBIから政府債を担保に資金を借りることができる流動性供給スキーム「MSF(マージナル・スタンディング・ファシリティー)」と公定歩合をそれぞれ5.40%に引き下げた。

 また、RBIはバイアス(金融政策に対する姿勢)を「緩和的」に据え置くことも全員一致で決めた。緩和バイアスは将来の利下げ継続の可能性を示す。

 RBIは17年8月に主要政策金利を10カ月ぶりに0.25ポイント引き下げて6.00%としたあと、18年4月まで4会合連続で据え置いた。同6月と同8月は2会合連続で利上げに転じ、その後、同10月と同12月に2会合連続で現状維持を決めた。しかし、19年2月に1年半ぶりに0.25ポイントの利下げに踏み切った。利下げは前回8月会合に続いて19年に入り5会合連続となる。

 RBIは会合後に発表した声明文で、利下げについて、前回会合時と同様に、「今回の決定は経済成長を支えながらCPI(消費者物価指数)で見たインフレ率の中期目標である4%上昇(2-6%上昇レンジ)を達成するというわれわれの目的と合致する」とした。

 また、「インフレ率は19年度下期(19年10月-20年3月)から20年度第1四半期(20年4-6月)にかけて物価目標を下回り続ける見通しだ。物価目標の達成を目指しながら、需要を刺激することにより成長懸念に取り組むためにはまだ金融政策の余地がある」と指摘。さらに、「マイナスのアウトプット・ギャップ(デフレギャップ)が一段と拡大した。景気後退が続いていることは成長勢いを回復するため、さらなる努力を正当化する」と強調した。

 インフレの現状認識については、「インフレ率は6月から8月までCPI(消費者物価指数)が前年比3.1-3.2%上昇の狭いレンジで推移した」とし、物価目標の4%上昇を下回りディスインフレ(物価上昇率の鈍化)の状況が続いているとした。

 インフレ見通しについては、最近の利下げ効果を含め、さまざまな要因を考慮した上で、19年度第2四半期(7-9月)の見通しを前回会合時の前年比3.1%上昇から同3.4%上昇に引き上げた。19年度下期については同3.5-3.7%上昇、また、20年度第1四半期は同3.6%上昇と、いずれも据え置いた。その上で、これらのインフレ見通しに対するリスクは「おおむね均衡している」としている。

 景気見通しについては、前回会合時と同様、「経済データをみると、インド経済は内外需とも弱い状況にある。ただ、今後は2月からの連続利下げの効果で経済が下支えられる」とした。その上で、19年度(19年4月-20年3月)のGDP(国内総生産)見通しを前回会合時の6.9%増から6.1%増に下方修正した。内訳は19年度第2四半期が前年比5.3%増となっているが、19年度下期は同6.6-7.2%増(前回発表時は同7.3-7.5%増)に下方修正した。これらの景気見通しに対するリスクは「概ね均衡している」という。また、20年度第1四半期の見通しは同7.2%増(前回発表時は同7.4%増)に下方修正した。

 次回会合は12月3-5日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場インド<1549.T>、インドNIF<1678.T>、インドブル<2046.T>、

 インドベア<2047.T>、iSエマジン<1582.T>

提供:モーニングスター社

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