ノーベル化学賞にLibの旭化成・吉野氏、祝儀買い必至、電池株狙い目はこれだ!

株式

2019/10/10 8:34

 リチウムイオン電池(Lib)を開発した旭化成<3407.T>名誉フェローの吉野彰氏に、今年のノーベル化学賞が授与されることが決まった。Libは繰り返し充放電が可能な2次電池で、パソコンやスマートフォン、ハイブリッド車など、現代社会に普及する多くの機器・製品に欠かせない。吉野氏は1980年代に、コバルト酸リチウムを正極に、炭素を負極にした原型を完成させた。

 日本人による同賞の受賞は9年ぶり。旭化成には祝儀買いがみ必至だ。また、電池株に幅広く物色が波及する可能性が高い。銘柄特性などから狙い目の銘柄を探った。

<オハラ、全固体でポテンシャル>

 Lib電池の進化系が、吉野氏も開発に取り組む「全固体リチウムイオン電池」だ。部材の電解質を固体化することで、液系Libの弱点である安全性を格段に高められる。形状の自由度も増すことで、さまざまなデバイス向けに飛躍的な市場成長が予想されている。

 オハラ<5218.T>は、優れた材料特性を持つリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの「LICGC」を開発。不燃性で、添加剤としてLibの充電速度や出力を向上さる効果を備える。全固体電池への応用でもポテンシャルは大きい。同社は全固体電池の自動車への搭載を目指すトヨタ自動車<7203.T>とも研究を重ねてきた。

 オハラの株価は8月末の安値1192円を底に急速に反転。その後は業績予想の下方修正によっていったん降下したものの、25日移動平均線を足場に再び切り返し、もう一段高をうかがう情勢にある。

<カーリットH、受託試験を展開>

 カーリットホールディングス<4275.T>はLibの受託試験を手掛ける。火薬メーカーならではの安全性に優れた設備を強みに、電池の寿命や耐久性のテスト工程をワンステップで請け負っている。

 17年には、Lib用セパレータを手掛ける東レ<3402.T>グループの受託分析会社と業務提携したことで、事業の展開幅を大きく広げる機会を獲得。前3月期は11年ぶりに連結営業利益が過去最高を更新した。

 今期は米中貿易摩擦のあおりで厳しい出足となったが、下期の出直りに期待したい。調整を経た株価は、それまで上値を押さえ込んできた13週移動平均線を前週に突破している。

<ニッカトー、セラミックス飛躍へ>

 ニッカトー<5367.T>はセラミックスの中堅メーカー。全固体リチウムイオン電池では、電解液の代わりにセラミック材料を電解質に使用する。穴株として十分に電池相場に乗れる存在だ。

 ニッカトーのかねてからの顧客であるTDK<6762.T>は、チップ型の全固体電池「セラチャージ」を開発した。ターゲットは需要の拡大するウエアラブルデバイスや、家電や産業機器をネットワークにつなぐIoT(モノのインターネット)の分野だ。

 次世代社会におけるセラミックスの活躍の場は広がり、ニッカトーにとってもビジネスチャンスが到来する。昨年の高値1670円からの調整は十分。足元の600円台の水準には割安感が台頭している。

<上記以外の主なLib関連株(コード番号順)>

 高度紙<3891.T>、昭電工<4004.T>、セントラル硝子<4044.T>、関電化<4047.T>、田中化研<4080.T>、日本化学<4092.T>、チタン工業<4098.T>、戸田工<4100.T>、ステラケミフ<4109.T>、三菱ケミHD<4188.T>、宇部興<4208.T>、日立化成<4217.T>、カーボン<5302.T>、ノリタケ<5331.T>、新日本電工<5563.T>、住友鉱<5713.T>、ヒラノテク<6245.T>、日立<6501.T>、三桜工<6584.T>、芝浦<6590.T>、Wスコープ<6619.T>、GSユアサ<6674.T>、NEC<6701.T>、富士通<6702.T>、パナソニック<6752.T>、マクセルHD<6810.T>、菊水電子<6912.T>、古河電池<6937.T>、FDK<6955.T>、村田製<6981.T>、安永<7271.T>、IMV<7760.T>、西華産<8061.T>

提供:モーニングスター社

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