真の観光立国リートをめざして、星野リゾート・リート投資法人の挑戦

2019/10/25 13:20

 星野リゾート・リート投資法人(3287)は、2013年の上場以来、毎期増配を続け、19年10月期、20年4月期についても連続増配を継続する見通しだ。際立った安定成長を続ける同リートの運用について、星野リゾート・アセットマネジメント代表取締役社長の秋本憲二氏(写真右)とモーニングスター代表取締役社長の朝倉智也が対談した。

 朝倉:訪日外国人観光客が過去最高を更新するなどインバウンドの好調でホテル業界は潤っているのでは?

 秋本:インバウンドは伸び続けていて、アジア地域の経済発展と人口増がその背景にありますので、今後も息の長い成長が続くと期待しています。少子高齢化が進む日本の中で、観光産業は唯一ともいえる成長産業なのではないでしょうか。

 一般的に、観光業は自然災害や景気の波によって、収益のボラティリティが大きいという先入観を持たれることが多いですが、本投資法人のスポンサーであり、テナントでもある星野リゾートが運営している施設は、業績が安定しているという実態があります。この星野リゾートの運営力が本投資法人の強みといえます。

 朝倉:星野リゾートが運営しているホテルは一味違った宿泊サービスを提供していますが、これが、リートの強みにもなっていると考えて良いのですね。

 秋本:星野リゾートは、軽井沢に星野温泉旅館をオープンしてから今年で105年を迎える歴史のある会社です。1992年に「運営特化」を打ち出しました。星野リゾートは運営に特化し、一方でその所有の部分を担う形で本投資法人が誕生したのです。

 本投資法人および星野リゾートが目指しているのは、長期にわたり競争力を維持し続けることなのです。ホテル事業は数十年に及ぶ長期競争力を維持する必要があり、その間には市場環境の良い時期と悪い時期を必ず経験します。ハード依存のモデルは後発優位であり、ソフト力で勝負することで先発優位の構造を創ることが必要になるのです。星野リゾートは地方での105年に及ぶホテル運営事業の歴史から生まれたソフト力により、先発優位の構造を創り上げており、その結果、市場環境に左右されない安定的な業績を残せているのです。

 朝倉:星野リゾート・リート投資法人は上場以来、順調に資産規模を拡大し、現在、分配金利回りが年4.3%程度と非常に魅力的な水準だと感じられます。

 秋本:上場時は6物件、150億円という世界最小のリートでしたが、現状では59物件、1,556億円の資産規模となり上場時の10倍まで拡大しました。

 また、分配金も堅調に推移させ、11期連続で増配し、第12期における分配金は上場後第2期と比較すると約2倍の水準まで増加してきました。

 安定的な業績を上げ続け、分配金の水準を下げることなく、少しでも増配し続けることが重要だと考えています。ホテル主体型リートは収益の不安定さが当たり前に考えられるセクターなのですが、本投資法人では星野リゾートの優れたホテル運営力によって安定収益を重ねたいと思います。今後も10年、20年と実績を積み上げ続けることによって、本投資法人への評価も確かなものになってくると思っています。

 星野リゾート・リート投資法人はJリートの中で、異色の存在です。多くのJリートが東京集中している中にあって、本投資法人は東京に所在する物件は2つのみ。残る57物件は、沖縄から北海道まで広く分布しています。この物件の立地の多様性は、同じJリートの中でも分散投資の候補として考えていただける存在だと思います。

 朝倉:Jリートは、国内で4%程度の利回りが得られる貴重な運用先として機関投資家の評価は高いです。もっと個人の方々にもリートの魅力に気づいていただきたいと思います。星野リゾート・リート投資法人の今後の展望は?

 秋本:星野リゾート・リート投資法人を立ち上げる時に思い描いていたのは「観光立国ファンド」と呼ばれるような、日本の観光産業がサステナブル(持続的)に発展していくことに貢献していきたいということを思い描いていました。

 観光をサステイナブルなものにするには、(1)観光地の全国各地への分散と(2)年間を通して需要を平準化すること――が効果的だと本投資法人は考えていいます。この考えの下、これからも積極的に地方のホテル・旅館に投資し成長をはかっていきたいと思います。また、既に保有している地方のホテル・旅館については、オフシーズンの魅力を創出し、そのシーズナリティをなくす取り組みにより通年型施設へ成長させていきたいと考えています。

 このような取り組みにより、真の観光立国リートになることを目指していきたいと考えています

提供:モーニングスター社

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