<無料公開>ファナックの7~9月受注は6年ぶり低水準、営業利益率20%割れ 株価反応がリスク許容度試す

2019/10/28 17:31

 ロボットや工作機械部品の大手ファナック(6954)が28日に発表した2019年7~9月(今3月期第2四半期)決算は、連結売上高が1263億円(前年同期比22.1%減)、営業利益が204億円(同53.5%減)に落ち込んだ。受注高は1234億円(同15.7%減)と13年7~9月(14年3月期第2四半期)以来の低水準にとどまり、米中摩擦を背景とする厳しい事業環境が浮き彫りになった。

 19年7~9月の受注高は前四半期より1割少ない。主戦場の中国では顧客が設備投資を手控えているため、ロボットや工作機械に搭載するNC(数値制御装置)の需要が伸び悩んでいる。同社は期初に757億円としていた営業利益の見通しを7月に713億円に引き下げているが、今回さらに691億円(前期比57.7%減)に変更した。通期の売上高は5045億円(同20.6%減)を見込む(従来予想は5242億円)。

 売上高の減少が生産効率の低下につながっている。19年7~9月は営業利益率が16.2%(前年同期は27.1%)に悪化した。四半期ベースの営業利益率は17年10~12月(18年3月期第3四半期)の32.8%を直近のピークに20%強の水準まで下がっていたが、ついに10%台に突っ込んだ。

 19年4~9月(今期上期)の営業利益は490億円(前年同期比50.2%減)となった。会社予想によれば、19年10月~20年3月(同下期)の営業利益は201億円(同69.1%減)とさらに業況は冷え込む見通しだ。為替前提は1ドル=100円、1ユーロ=115円。

 19年7~9月の営業利益の市場予想の平均は250億円前後だったとみられる。このため、大幅に下回る実績が悪材料視されてもおかしくない。しかし、事業領域が重なる安川電機(6506)の例を参考にすると、株価は相当な収益悪化を事前に織り込んでおり、視点は来期の業績回復に向かう可能性がある。あす29日のファナックの値動きは、マーケットのリスク許容度の試金石になりそうだ。28日の終値は前日比2.1%高の2万1640円。

(イメージ画像提供:123RF)

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