10月FOMC、0.25ポイントの追加利下げ決定―年内利下げ休止を示唆

FOMC

2019/10/31 9:58

<チェックポイント>

●10人のうち2委員は現状維持を主張

●「経済成長を持続させるため、適切な行動を取る」の文言削除

●「金融政策はキリのよい状態」とパウエルFRB議長

 FRB(米連邦準備制度理事会)は30日の2日目FOMC(米連邦公開市場委員会)で、市場予想通り、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を0.25ポイント引き下げ、1.50-1.75%とすることを決めた。利下げは7月会合、9月会合に続いて3会合連続となる。

 今回の会合でも、10人の政策委員のうち、8人が0.25ポイントの小幅利下げを支持したが、ジョージ・カンザスシティー連銀総裁とローゼングレン・ボストン連銀総裁の2委員は3会合連続で現状維持を主張した。政策決定が全員一致でなかったのは18年2月のパウエル議長就任以降では6月と7月、9月に続いて4回目。

 また、過去3回の利下げ効果を測るため、年内の利下げを休止する可能性を示唆。声明文で、金融政策の見通しについては、前回会合時に使われた「経済成長を持続させるため、力強い雇用市場とシメントリック(上下が対称)な2%上昇の物価目標の達成に向け適切な行動を取る」の文言を削除。今回はその代わり、新たに「FF金利誘導目標が適切な道筋にあるかどうか評価する」との文言を加え、「米国の経済見通しに与える影響を注視する」との考えを示した。

 パウエルFRB議長も会合後の会見で、「金融政策はキリのよい状態(in a good place)にある」と述べ、「今後の経済指標がわれわれの米国の経済見通しと大体、合致し続ける限り、現在の金融政策スタンスは適切である可能性が高い」と付け加えた。ただ、今後、追加利下げが必要になるかどうかについては、「われわれの米国の経済見通しを大幅に見直させるような状況の変化が起こればそれ相応に対応する」と述べており、追加利下げの必要性は否定しなかった。これを受け、市場では、20年に入り米経済の成長率の鈍化が進む見通しから利下げが再開されるとみている。

 今回の会合でも金融市場の流動性不足に対応するため、ニューヨーク連銀は「システム・オープン・マーケット・アカウント(SOMA)」を通じ、FF金利を目標レンジ(1.50-1.75%)に維持するため、必要に応じ、貸借期間がオーバーナイト(翌日物)または、1日以上の現先オペを引き続き実施するとした。ただ、レートは今回の利下げに伴い、従来の1.70%から1.45%に引き下げた。

 利下げに伴い、FRBは31日からIOER(超過準備預金金利)も従来の1.80%から1.55%に0.25ポイント引き下げ流動性対策を継続する。IOERとは、市中銀行がFRBに預け入れることが義務付けられている準備預金の所要準備を上回る準備預金の預入額(超過準備預金)に付与される金利。平常時にはIOERがFRBのFFU金利誘導目標のレンジの下限となるが、超金融緩和時にはFF金利の上限となっている。

 FRBは会合後に発表した声明文で、今回の追加利下げについて、前回会合時と同様、「世界経済の(減速)見通しとインフレ圧力の鎮静化にかんがみ0.25ポイント利下げを決めた」と述べ、米経済の先行き懸念が利下げの背景にあることを示した。

 景気の現状認識については、前回会合時と同様、「経済活動は成長を持続し、力強い雇用市場が続いている」としたが、「経済活動は緩やかな伸び(鈍化)になっている」との文言を据え置き、「輸出は依然弱い」との文言も残した。

 インフレの先行き見通しについては、前回会合時と同様、「インフレ率がシメントリック(上下が対称)な物価目標の2.0%上昇近辺に達する可能性が最も高いとみている」とした。現状認識については前回会合時と同様、「インフレ率は全体指数とコア指数がいずれも減速し、物価目標の2%上昇を下回っている」とした上で、「市場のインフレーション・コンペンセーション(期待インフレ率)は変わっていない」との文言を残し、インフレ率が物価目標を下回り続けていることに懸念を示した。

 次回会合は12月10-11日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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