来週の日本株の読み筋=強弱感対立の可能性、「パウエル発言」に注目
来週(11-15日)の東京株式市場では、連日の年初来高値更新をにらみ、先高期待が根強いものの、過熱感を指摘する向きも少なくなく、強弱感が対する可能性がある。特に注目されるが、現地13、14日に予定されているパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長による議会証言。米経済見通しを示すとみられるが、その内容は今後の政策の方向性を決める要素となるだけに、市場の受け止め方次第では相場変調につながるとの読みも出ている。
一方、米シカゴ・オプション取引所が算出するVIX指数が低位で推移していることから、投資家にとっては先行き不透明感が薄い状況にある。半面、需給面ではVIX指数先物の売り残が歴史的な高水準となっており、きっかけがあれば不安心理が噴出しかねない下地ができており、その動向を注視する必要がある。
スケジュール面では、国内で11日に9月機械受注、10月景気ウォッチャー調査、10月30-31日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」、14日に7-9月期DPなど。海外では13日に米10月消費者物価、14日に中国10月の工業生産、小売売上高、都市部固定資産投資、米10月生産者物価、米通商拡大法232条による自動車関税の発動期限、15日に米10月の小売売上高、鉱工業生産・設備稼働率などが予定されている。
8日の日経平均株価は2万3391円(前日比61円高)引けと4日続伸し、連日で年初来高値を更新した。中国商務省は7日、米中の貿易交渉に関し「追加関税の段階的な引き下げで合意している」と発表し、NYダウが最高値を更新した流れを受け、朝方は買い優勢で始まり、上げ幅は一時260円に達した。その後、ナバロ米大統領補佐官が「現時点で合意はない」と述べたと報じられ、懐疑的な見方から株価指数先物に売りが出て前場終盤には下げに転じる場面もあった。その後、持ち直したが、戻りは限定された。この日算出の日経平均先物ミニ・オプション11月限のSQ(特別清算指数)値は2万3637円となり、日経平均が一度もタッチしない幻のSQに終わったが、「早期にこのラインをクリアできないと上値抵抗線として意識されることになる」(準大手証券)との声が聞かれた。
提供:モーニングスター社
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