<新興国eye>カンボジア初の風力発電施設、検討始まる

新興国

2019/11/29 11:19

 シンガポールの再生可能エネルギー企業ブルー・サークルは、カンボジア初の本格的風力発電所として、カンポット州で風力発電事業を検討しており、11月からカンボジア政府との協議を開始するとしています。

 カンボジア鉱業・エネルギー省エネルギー局のビクター・ジョナ局長によると、同省は11月19日にブルー・サークルと面会し、電力価格について協議するとのことです。

 カンポット州のボコール山に風力発電機10基を設置する予定で、発電容量は80メガワットの計画です。

 ブルー・サークル社は、カンボジア、タイ、ベトナムで風力・太陽光発電事業を展開する企業です。カンボジアでは、カンポット州とシアヌークビル州、モンドルキリ州で進めていた風力発電の事業化調査を完了しており、カンボジア全体で風力発電は500メガワットの可能性があるとしています。また、最初のテストフェーズとして13メガワットの小型プラント(発電機4基)の建設も計画しています。

 風力発電事業の建設費は、1メガワット当たり200万-300万ドル(約2億1600万円-3億2400万円)と言われます。太陽光発電のコストが低下し、1キロワット時当たり4セントを切る電力価格も出てきている中で、風力発電の電力価格がどこまで下がるかが課題となるものと見られます。ただ、石炭火力発電への風当たりが強くなる中で、再生可能エネルギーへの転換は、カンボジアにとっても重要な課題となりつつあり、今後の交渉が注目されます。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。1982年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。07年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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提供:モーニングスター社

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