RBA、市場予想通り政策金利を据え置き―豪ドル安が経済下支え

経済

2019/12/3 16:31

<チェックポイント>

●過去3回の利下げが雇用・所得の伸びやインフレ加速に寄与と指摘

●世界経済見通しのリスクは「一部緩和」との見方示す

●追加の利下げには含み、市場はQE導入も予想

 豪準備銀行(RBA)は3日の理事会で、政策金利であるオフィシャルキャッシュレート(OCR、銀行間取引で使われる翌日物貸出金利)を0.75%に据え置くことを決めた。市場の予想通りだった。

 中銀は景気刺激のため、6月、7月と2会合連続で政策金利を引き下げた。8月、9月は現状を維持。10月には3カ月ぶりに利下げが、前回11月会合は据え置いており、これで2会合連続の現状維持となった。

 会合後の声明文によると、中銀は6月以降の(過去3回の)利下げが豪州の雇用と所得の伸びが下支えし、インフレ率も中期の物価目標に向かっているとの見方を変えず、「豪ドル安圧力にもなっており、(豪ドル安が)さまざまな産業の経済活動を下支えしている」と、利下げ効果が現れてきたことを認めた。

 世界経済の先行き見通しに対するリスクは下ブレ方向にあるとしたが、「一部緩和した」との文言を追加し、世界経済の減速懸念がやや後退しているとの見方を示している。また、各国の中銀が金融緩和に舵を切って金利は世界的に低水準となっており、「さらなる金融緩和期待は(前回会合時から)この1カ月間で後退しており、金融市場のセンチメントもやや改善した」とし、景気刺激策のための追加利下げの必要性が低くなったとしている。

 雇用市場については、当面のあいだ失業率が約5.25%の水準を維持し、「21年に5%弱に低下する」との見方を維持。賃金の見通しは伸びの弱い状態が続くとしながらも、「最近の動向は豪州経済が低水準の失業率と自発的離職率を達成することができることを示している」と述べ、先行きについて楽観視している。

 豪州経済の景気の見通しについては、21年には約3%増になるとの見通しを据え置いた。一方、家計の可処分所得の伸びが依然緩やかなことから、「個人消費が経済の不確実性となっている」との見方も変えていない。インフレの見通しも、緩やかな加速を予想し、「全体指数とコア指数は20年と21年に2%上昇に近い水準になる」との見通しを据え置いた。

 RBAは今後も低金利を継続する方針で、「雇用市場を注視し、もし景気拡大の持続と完全雇用、物価目標の達成を支える必要があれば、さらに金融政策を緩和する用意がある」と述べ、追加利下げに含みを持たせた。

 市場では20年4月までに0.25ポイントの追加利下げを予想しており、さらなる利下げや量的金融緩和策(QE)の導入の可能性もあるとみている。RBAのロウ総裁は11月26日、エコノミストとの懇談で、「QEが必要になった場合は、国債買い入れの形をとる」と述べている。

 次回会合は20年2月4日に開かれる予定。

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ