<新興国eye>インド準備銀行、政策金利現状維持を決定―市場は利下げ予想

新興国

2019/12/6 10:42

 インド準備銀行(RBI)は5日、金融政策決定会合を開き、10月のインフレ率が物価目標(4%上昇)を上回った一方で、過去の利下げ効果で景気回復が進むとの見方を示した上で、流動性調節ファシリティ(LAF)の主要政策金利であるレポ金利(RBIの市中銀行への翌日物貸出金利)を5.15%に据え置くことを全員一致で決めた。市場では景気回復を一段と強めるため、0.25ポイントの小幅利下げを予想していた。

 また、RBIはLAFのリバースレポ金利(市中銀行のRBIへの預金金利)も4.90%、市中銀行が資金ひっ迫時にRBIから政府債を担保に資金を借りることができる流動性供給スキーム「MSF(マージナル・スタンディング・ファシリティー)」と公定歩合もそれぞれ5.40%と、いずれも据え置いた。

 RBIは17年8月に主要政策金利を10カ月ぶりに0.25ポイント引き下げて6.00%としたあと、18年4月まで4会合連続で据え置いたが、同6月と同8月に2会合連続で利上げを決めた。その後、同10月と同12月は現状維持を決めたが、19年2月に入り、1年半ぶりに0.25ポイントの利下げに転換し、前回10月会合まで、今年に入り5会合連続の利下げを実施している。その結果、利下げ幅は計1.35ポイントに達した。

 会合後に発表した声明文では、前回会合時と同様、バイアス(金融政策に対する姿勢)を「景気回復のために必要とする限り、また、インフレ率を中期の物価目標の範囲内(4%上昇±2%上昇)に収束させるため、金融緩和スタンスを続ける」としている。

 インフレの現状認識については、「インフレ率は10月に前年比4.6%上昇に加速した」とし、物価目標の4%上昇を上回り、ディスインフレ(物価上昇率の鈍化)懸念が後退したことを指摘した。6月から8月まではCPI(消費者物価指数)が同3.1-3.2%上昇の狭いレンジで推移しており、ディスインフレ懸念が続いていた。

 インフレ見通しについては、19年度下期(19年10月-20年3月)の見通しを前年比4.1-5.7%上昇(前回会合時は同3.5-3.7%上昇)に引き上げた。また、20年度上期(4-9月)の見通しについても3.8-4%上昇と、前回会合時に示した20年度第1四半期(20年4-6月)の同3.6%上昇に比べ高目に予想している。また、RBIはこれらのインフレ見通しに対するリスクは「概ね均衡している」とした。

 景気見通しについては、前回会合時とほぼ同様に、「経済データをみると、インド経済は依然として内外需とも弱い状況にある。ただ、今後は2月からの連続利下げや政府の景気刺激策の効果で消費者の信頼感が回復し内需に弾みがつけられる」とした。

 しかし、その一方で、19年度(19年4月-20年3月)のGDP(国内総生産)見通しを前回会合時の6.1%増から5%増に下方修正した。内訳は19年度下期(19年10月-20年3月)の見通しを前年比4.9-5.5%増(前回発表時は同6.6-7.2%増)に下方修正した。19年度第2四半期(19年7-9月)は同5.3%増だった。また、20年度上期(4-9月)の見通しも同5.9-6.3%増と、前回会合時に示した20年度第1四半期(4-6月)の同7.2%増に比べ低めに予想している。

 これらの景気見通しに対するリスクについて、RBIは、「これまでの利下げの効果の浸透や貿易摩擦の迅速な解決は上ブレリスクとなるが、内需回復の遅れや世界経済の一段の減速や地政学的緊張は下ブレリスクとなる」としている。

 次回会合は20年2月4-6日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場インド<1549.T>、インドNIF<1678.T>、インドブル<2046.T>、

 インドベア<2047.T>、iSエマジン<1582.T>

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ