米11月雇用統計、非農業部門雇用者数は前月比26.6万人増―市場予想大きく上回る<チェックポイント>

経済

2019/12/9 9:55

●雇用者数の伸び加速はGMの長期スト解消が主因

●平均時給は前年比3.1%増―市場予想上回る

●月失業率は3.5%―10月から0.1ポイント改善

 米労働省が6日発表した11月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比26万6000人増と、10月の同15万6000人増から伸びが加速し、1月の31万2000人増以来10カ月ぶりの高い伸びとなり、市場予想の18万2000人増を大幅に上回った。

 10月は米自動車最大手ゼネラル・モーターズ<GM>の従業員が一斉にストに突入したことや、20年の国勢調査で臨時雇用された2万人が抜け落ちたこと、さらには過去2カ月(8-9月)の雇用者数が約10万人も上方改定されたため伸びが鈍化したが、11月統計ではこうした鈍化要因が剥落したことで、強い結果となった。

 今回の統計結果を受け、ニューヨーク債券市場では10年債利回りが0.055ポイント上昇の1.85%となり、利下げ圧力が急速に後退した。

 FRB(米連邦準備制度理事会)は米中貿易摩擦の激化や世界経済の減速による米経済への悪影響を避け、GDP(国内総生産)伸び率を2%増に維持するため、7月に約11年ぶりの利下げに踏み切り、9月と10月にも3会合連続の利下げ(0.25ポイント)を実施した。ただ、市場では今回の雇用統計で雇用市場は依然堅調を維持していることを受け、10-11日会合で政策金利を据え置くと見ている。

 中・長期のトレンドをみると、過去3カ月間(9-11月)の雇用者数の月平均は20万5000人増と、10月時点の同18万9000人増を上回った。

 また、今回の統計では9月と10月の雇用者数が計4万1000人も上方改定された。9月は前回発表時の前月比18万人増から同19万3000人増に、10月も同12万8000人増から同15万6000人増に、いずれも引き上げられた。

 11月非農業部門雇用者数の内訳は、民間部門が前月比25万4000人増と、10月の同16万3000人増(前回発表は同13万1000人増)や市場予想の同17万5000人増を大幅に上回った。また、政府部門も10月の同7000人減から同1万2000人増と、増加に転じた。

 失業率は3.5%と、10月の3.6%から0.1ポイント低下し、市場予想の3.6%も下回った。1969年12月の3.5%と一致し、49年11カ月ぶりの低水準が続いている。労働市場への参加の程度を示す労働参加率(軍人を除く16歳以上の総人口で労働力人口を割ったもの)は63.2%と、10月(63.3%)をやや下回ったが、13年8月以来6年ぶりの高水準が続いている。失業率が低下したのは労働市場参加者が前月比で17万5000人増えた一方で、失業者数が前月比4万4000人減ったため。

 また、市場が注目していた賃金(平均時給)の伸びは、前年比3.1%増となり、市場予想の3.0%増を上回った。市場では賃金の伸びがインフレ加速の兆しと見られる前年比3%増を依然上回っていることや、雇用者数が強い伸びを示し、失業率も低下したことから、歳末商戦期の個人消費は下支えされ、米経済の拡大基調は続くと見ている。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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