<新興国eye>ブラジル中銀、全員一致で0.50ポイント追加利下げを決定

新興国

2019/12/12 11:25

 ブラジル中央銀行(中銀)は11日の金融政策決定委員会で、政策金利(セリック)である翌日物金利誘導目標を0.50ポイント引き下げ、過去最低水準の4.50%とすることを全員一致で決めた。市場の予想通りだった。

 中銀は18年5月、急激なレアル安が輸入物価を押し上げインフレを加速させるリスクが高まったとして、それまでの利下げ継続から現状維持に転換。19年6月まで10会合連続で現状維持を決めた。しかし、7月会合で景気回復ペースが鈍化する見通しが強まったため、18年3月以来1年4カ月ぶりに利下げに踏み切った。利下げは9月と前回10月会合に続いて、これで4会合連続となる。

 中銀は政策決定後に発表した声明文で、追加利下げを決めたことについて、前回会合時と同様、「基調インフレ率(コアインフレ率)が適切かつ好ましい水準で進んでいる」とした一方で、「ブラジル経済は4-6月期の成長率が前期に比べ伸びが加速したが、われわれの経済予測の標準シナリオでは、この景気回復は徐々に進むとみられる」とし、インフレが抑制されていることから、景気刺激のため、追加利下げを決めたとしている。

 今後の金融政策については、「ブラジル経済の今後の景気動向や景気見通しに対する上ブレ・下ブレの両リスク、さらにはインフレ予測とインフレ期待によって、今後の金融政策が決まる」と述べている。これを受け、市場では、20年2月の次回会合で利下げ休止か、または利下げ継続も考えられるとの見方が出た。

 中銀の経済予測では、19年末時点の政策金利は4.50%で、20年初めに4.25%に低下し、同年末時点では4.50%に戻ると予想されている。その後、21年末時点で6.25%に上昇するとしている。こうした予測は19日に公表される最新の四半期インフレ報告書で示される見通し。一方、中銀が9日に発表した最新の経済週報「フォーカス・ブルティン」では、中銀の委託を受けて民間アナリストが予想した19年末時点の政策金利の見通しは今と同じ4.50%、また、20年末時点の見通しも4.50%と予想されている。

 中期のインフレ見通しについては前回会合時と同様、「インフレの見通しに対するリスクは両方向に存在する」とした上で、「経済の不活発による高水準のたるみ(生産設備や労働力などの余剰)はインフレ下ブレリスクとなる一方で、経済の改革や調整の継続期待がくじかれれば、また、新興国経済の先行き見通しが悪化すればこの上ブレリスクはさらに高まる」とインフレ見通しの両リスクの進展を注視していくとしている。11月のインフレ率は3.27%上昇だったが、中銀の19年物価目標は4.25%上昇、20年は4%上昇、21年は3.75%上昇と鈍化の想定となっている。

 次回の金融政策決定会合は20年2月4-5日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、iSエマジン<1582.T>、上場MSエマ<1681.T>、

 iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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