英保守党が総選挙で圧勝、EU離脱大きく前進へ(下)
2019/12/27 11:43
ジョンソン英首相は選挙公約で指摘したように、選挙から約1週間後の12月20日、下院にEU(欧州連合)離脱協定法案(WAB)を提出し、委員会審議に入るための第2読会の採決を実施し、圧倒的な大差でWABを可決した。野党・労働党では32人が棄権しただけでなく、6人が造反して賛成に回っており、労働党の一枚岩の体制にひびが入った。今後は20年1月7-9日の3日間の日程で、下院の委員会で審議され、上院に送られたあと議会通過となる見通しだ。
これにより、イギリスは20年1月31日のEU離脱後、移行期間にEUとの漁業協定の協議に入り、EUとの自由貿易協定の協議を20年12月末までに完了させる必要がある。この時点で合意してもしなくても21年1月1日に完全に離脱することになる。
保守党の勝利とは裏腹に、今後のEUとの貿易協議は難航が予想されるとの論調もある。英紙インデペンデントは13日付で、「ジョンソン首相は選挙公約で20年末までにEUと自由貿易協議を終わらせるとしているが、EU側は残り11カ月で包括的貿易協定を結ぶのは困難で、5-7年かかると見ている」と指摘する。また、「EU離脱による貿易の穴を埋めるために、英国は日米中やカナダなどとの自由貿易協議に長い時間をかけることになる」と懸念を示す。ブレグジットを巡る英国の苦悩は続く。
一方、SNP(スコットランド国民党)は今回の総選挙でスコットランド地方の59議席中48議席を獲得し大躍進したことを受け、スッコトランド独立の是非を問う2回目の国民投票を画策している。マイケル・ゴーブ・ランカスター公領大臣は15日の英テレビ局スカイニュースで、「政府は絶対認めない」と対決姿勢を示しており、新たな火種となるのは間違いない。
提供:モーニングスター社
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