<年末年始特集>20年は“CBDC元年”になるか―リブラVSデジタル人民元(1)
2019/12/27 18:34
<米国がリブラに難色示す裏で中国が動く>
米国でフェイスブックが19年6月、デジタル通貨「リブラ(LIBRA)」を発行する計画を明らかにした。いわゆるビットコイン(BTC)に代表される仮想通貨(暗号資産)であるが、ビットコインと違ってドルやユーロなどと準備通貨とするステーブルコインであり、価格の安定性を謳う。構成比率は米ドルが50%、ユーロが18%、円が14%、英ポンドが11%、シンガポールドルが7%となる見通し。ただ、この計画に米議会や米金融当局が異議を唱えた。
このような中、中国の習近平国家主席が10月、中国共産党のブロックチェーン関連の研究会において「(中国が)ブロックチェーンの先頭を走る」と発言。また、中国人民銀行(中銀)はCBDC――いわゆる中央銀行デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)を発行する準備を進めていると伝わった。米国だけでなく、多くの中央銀行がCBDCの発行に慎重な姿勢を示していたところだったため、中国の動きはサプライズとなった。
CBDCは政府が発行する仮想通貨のようなものだ。仮想通貨は既存の通貨同士での国際送金と比較すると時間短縮が望めるため、取引の円滑化も期待される。また、用いられているブロックチェーン技術は、すべての取引が台帳(ブロック)に記録され、新たな取引が成立すると今までの台帳に鎖(チェーン)のようにつなげられていく。取引等の参加者すべてが取引台帳を確認できるため、改ざんが難しいとされるほか、一部のサーバーにトラブルが生じても他のサーバーのデータをもとに復旧できるため、障害にも強い。脱税やマネーロンダリングの防止も期待できる。また、現金と違って保管コストや流通コストもかからない。こうするとメリットばかりのように思えるが、システム上の問題点を無視できないのも事実。(2)へ続く
提供:モーニングスター社
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