米19年12月雇用統計、非農業部門雇用者数は前月比14.5万人増―市場予想下回る<チェックポイント>

経済

2020/1/14 9:32

●伸び鈍化は歳末商戦期の遅れが要因か―雇用市場適温続くとの見方大勢

●平均時給は前年比2.9%増―伸び鈍化も堅調維持

●失業率は3.5%で横ばい

 米労働省が10日発表した19年12月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比14万5000人増と、市場予想の16万人増を下回った。

 また、10月は前月比15万6000人増から同15万2000人増に、11月も同26万6000人増から同25万6000人増に、いずれも引き下げられた。

 市場では今回の12月統計は11月急増の反動減を予想していた。予想以上に伸びが減速したのは、19年11月の感謝祭から始まる歳末商戦期が例年より遅れたことによる季節調整値の歪みを反映したものとの見方がある。

 一方、19年全体の非農業部門雇用者数は211万人増と、18年の270万人増を下回り、8年ぶりの低水準となったものの、9年連続で200万人増を超えたことから、雇用市場はゴルディロックス(適温状態)にあり、こうした強い雇用市場の下で旺盛な個人消費が続くとの見方が根強い。

 12月非農業部門雇用者数の内訳は、民間部門が前月比13万9000人増と、11月の同24万3000人増(前回発表は同25万4000人増)や市場予想の同15万7000人増を下回った。また、政府部門も11月の同1万3000人増から同6000人増に伸びが鈍化した。

 民間部門では、建設業が前月比2万人増と11月の同2000人増から伸びが加速し、5カ月連続で増加。一方、製造業は同1万2000人減と、11月の5万8000人増から一転して減少に転じた。このうち、特に自動車・同部品は同800人減と、米自動車最大手ゼネラル・モーターズのスト解除を反映して急増した11月の同3万9300人増の反動減となった。

 サービス業は同14万人増と、11月の19万1000人増からさらに伸びた。特にサービス業のうち、小売業は同4万1000人増と、11月の同1万4000人減から伸びが急加速し、約3年ぶりの大幅増となった。

 失業率は3.5%と、11月と変わらず、市場予想とも一致した。1969年12月の3.5%と一致し、50年ぶりの低水準が続いている。また、労働市場への参加の程度を示す労働参加率(軍人を除く16歳以上の総人口で労働力人口を割ったもの)は63.2%と、11月と変わらず、13年8月以来6年ぶりの高水準が続いている。

 一方、市場が注目していた賃金(平均時給)の伸びは、雇用市場がタイトとなっているにもかかわらず前年比2.9%増と11月の3.1%増を下回った。伸び率が3%を下回ったのは18年7月以来1年5カ月ぶり。

 11月CPI(消費者物価指数)のコア指数が前年比2.3%上昇だったことを考慮すると、実質賃金の伸びは0.6%増と、低水準のままだ。ただ、市場では賃金の伸びがインフレ加速の兆しと見られる前年比3%増に近い伸びにとどまっていることや、雇用者数が堅調な伸びを示し、失業率も50年ぶりの低水準にあることから、個人消費は下支えされ、米経済の拡大基調は続くと見ている。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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