<新興国eye>マレーシア中銀、市場予想に反し0.25ポイント利下げを決定

新興国

2020/1/23 11:15

 バンク・ネガラ・マレーシア(中銀)は22日の金融政策決定会合で、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を0.25ポイント引き下げ2.75%とすることを決めた。市場では据え置きが見込まれていたため、予想外の利下げとなった。

 中銀は16年7月会合で景気刺激のため、政策金利を0.25ポイント引き下げたあと、同9月から17年11月まで8会合連続で金融政策を据え置いた。金融緩和の程度を調整するためとして18年1月に利上げを実施したが、同3月から19年3月まで7会合連続で政策金利を据え置いた。同5月には世界景気減速による輸出悪化など景気下ブレリスクが強まったとして2年10カ月ぶりに利下げに踏み切ったが、利下げは「調整」の範囲内とし、同7月から現状維持を決めていた。

 中銀は8カ月ぶりとなる今回の利下げについて、「物価安定と経済成長の上昇軌道を確実にするための予防的措置」とし、「現在の政策金利水準はマレーシアの物価を安定させながら経済成長を下支えするのに適切な措置」としている。

 会合後に発表した声明文では、「最近の(米中)貿易摩擦の緩和を反映し、世界経済は緩やかな拡大を続けているが、地政学的な緊張などで世界景気の下ブレリスクが残っており、将来、金融市場を混乱させる可能性がある」としている。

 マレーシア経済の先行きの見通しについては、前回会合時と同様、「19年のマレーシア経済の成長率は経済予測の標準シナリオの範囲内(4.3-4.8%増)が予想され、20年も成長率は徐々に上向く」としたが、「貿易相手国の予想を下回る弱い景気の伸びや金融市場が一段と不安定になっていること、地政学的リスク、国内要因ではコモディティ(国際相場商品)関連セクターの弱い状況などの景気下ブレリスクが依然として残っている」とし、景気の先行きに懸念を示した。

 インフレの見通しについては、前回会合時と同様、「19年のインフレ率の全体指数は0.7%上昇となった。20年は一段と上昇するが、伸びは緩やかとなる。コアインフレ率も経済活動の着実な拡大で支えられる一方で、強い需要インフレ圧力がないため、引き続き安定する」と楽観的な見方を据え置いた。

 次回会合は3月3日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 ブルサKLC<1560.T>、iSエマジン<1582.T>、アセアン50<2043.T>、

 アジア債券<1349.T>、iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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