<新興国eye>インドネシア中銀、政策金利を据え置き―市場予想通り
2020/1/24 11:44
インドネシア中央銀行(BI)は23日の理事会で、主要政策金利の1週間物リバースレポ金利を5.00%に据え置くことを決めた。市場予想通りだった。
また、過剰流動性を吸収するための翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)は4.25%、翌日物貸出ファシリティー金利は5.75%と、いずれも据え置いた。
17年10月から18年4月まで7会合連続で政策金利を据え置いたが、同5月ごろからルピア安が急速に進行したため、ルピア安と国内からの資金流出の阻止を狙って、5月の定例会合と同30日の臨時会合に続いて、6月、8月、9月、11月と、18年だけで計6回の利上げを実施し、利上げ幅は計1.75ポイントに達した。同12月から据え置きに転じ、19年6月まで7会合連続で据え置いたが、同7月から17年9月以来となる利下げを実施。同10月まで4会合連続で利下げした。現状維持は前回12月会合に続いて3会合連続となる。
中銀は会合後に発表した声明文で、現状維持を決めた理由について、前回会合時とほぼ同様に、「金融スタンスは依然金融緩和的だ」とした上で、「金融政策はインフレを物価目標のレンジ内に抑制し、(輸出や観光などの)外部環境を安定させ、インドネシア経済の成長の勢いを維持する取り組みと合致する」と述べている。
金融政策の見通しについては、前回会合時と同様、「国内経済や世界経済の今後の成り行きを注視し、外部環境を安定させ、経済成長の勢いを持続し、また、インフレの抑制を維持するため、金融緩和的なポリシーミックス(複数の経済政策手段の一体運営)を講じる余地があるかどうか判断する」とし、引き続き利下げや金融規制の緩和策などの政策ミックスを進める考えを示した。なお、市場の一部では年内に0.25ポイントの利下げの可能性を指摘する声も聞かれる。
景気の現状認識については、「堅調な個人消費や輸出環境の改善により、成長の勢いは強靭(resilient)となっている」とし、前回会合時に使われた「成長の勢いが持続(maintained)している」との文言を一段と強めた。今後の見通しについても、「19年全体の成長率は5.1%増となり、20年には5.1-5.5%増と、成長率が高まる」との楽観的な見方を示した。
インフレ見通しについては、「19年のインフレ率の全体指数は前年比2.72%上昇と、18年の3.13%上昇から減速し、インフレ率は依然、物価目標(3.5%上昇±1%)の範囲内に抑制されている」とし、前回会合に続いて楽観的な見方を示した。その上で、「20年のインフレ率は物価目標の範囲(2-4%上昇)内で抑制される」と付記している。
一方、過去の連続利上げの根拠となっていた通貨ルピア相場の下落懸念については、「ルピア相場は上昇が続き、1月22日時点で年初来1.74%高となっている」とした上で、今後のルピア相場の見通しについては、「ルピア相場は市場メカニズムと経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)に従って安定していく」と前回会合時と同様、ルピア安懸念が後退しているとした。
次回の金融政策決定会合は2月19-20日に開かれる予定。
<関連銘柄>
アジア債券<1349.T>、iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>、
iSエマジン<1582.T>、アセアン50<2043.T>
提供:モーニングスター社
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