<無料公開>決算どう見る?―5G投資本格化、アンリツや東エレクが市場予想上ブレ

2020/1/31 8:15

 SCREENホールディングス(=スクリン、7735)の想定外の下方修正などで世界景気への不安が広がった前日から一転し、30日に発表された決算には好内容が目立った。富士通(6702)は今3月期の連結営業利益の見通しを大幅に増額。また、5G(次世代高速通信システム)絡みの需要が強く、アンリツ(6754)や東京エレクトロン(8035)が市場予想を上回る収益を上げた。各社は配当予想の引き上げや自社株買いも打ち出し、市場へのアピールを強めている。

 計測器大手のアンリツの昨年10~12月の連結営業利益は、前年同期比10.6%増の46.8億円とコンセンサスの30億円をはるかに超える規模に積み上がった。5G対応スマートフォンの開発が中国など東アジアで本格化している。計測事業の受注高は209億円と前四半期から19.4%増え、前年同期比では16.2%増となった。

 同社は今3月期の営業利益の予想を115億円から155億円(前期比37.8%増)に上方修正。この水準もアナリスト予想の平均(125億円)を上回る。地域別の売上見通しもアジアや日本を引き上げた。きょう31日の午前中に都内で決算説明会が開催される。

 半導体製造装置の東エレクの10~12月決算は、営業利益が647億円(前年同期比10.2%増)。前四半期比でも増益を確保し、5G向け投資の活性化などに伴う事業環境の回復を反映した。今3月期の業績予想に変更はないが、野村証券では大きな懸念要因はないとみて目標株価を従来の2万5912円から2万8355円に引き上げた。2020年の前工程装置市場も高成長を予想している。

◎富士通は好業績に増配・自社株買い

 富士通は今3月期の連結営業利益の計画を、従来の1600億円から2000億円(前期比53.6%増)に増額した。市場予想(1850億円)を凌駕(りょうが)し、10~12月の営業利益も504億円(前年同期は287億円の赤字)とコンセンサスを8割近く上回った。国内の旺盛なITニーズをとらえた格好。新経営体制の成果を印象付けた。

 アンリツ、東エレク、富士通ともに配当計画も引き上げている。また、富士通は500億円の自社株買い(発行済み株式の2.7%)を発表。東エレクは発行済み株式の4.8%に相当する自己株式の消却を打ち出している。

(イメージ写真提供:123RF)

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