モーニングスターアワード・ファンド オブ ザ イヤー2019――最優秀ファンド賞「勝者の言葉」

投信

2020/2/12 17:32

 モーニングスターは、「第21回モーニングスター アワード ファンド オブ ザ イヤー 2019」の受賞ファンド41本を選定した。国内追加型株式投資信託約5500本の中から、独自の定量分析、定性分析に基づき運用成績が総合的に優秀なファンドを表彰するもので、国内外の株式型、債券型、バランス型、そして、オルタナティブ型など合計8部門で最優秀ファンド賞を発表した。また、特別賞としてESG部門を新設した。2019年は運用環境が良好で1年以上の運用実績があるファンドのうち98%に当たる4957本がプラスのリターンとなった。

■総評

 モーニングスター株式会社 代表取締役社長 朝倉智也

 アワード21回の中で、今回初めて公募投信への資金純流出という環境の中で運用成績を評価した。解約に伴うキャッシュコントロールに苦労されたと思うが、素晴らしい成績を残し、非常に価値のある受賞だと思う。世の中はアクティブからパッシブへのシフトが進んでいるが、パフォーマンスの上位は、10本のうち9本はアクティブファンドが占めている。毎年、インデックスに勝ち続けることは難しいが、5年、10年という長い期間で、インデックスを凌駕(りょうが)するアクティブファンドがある。良質なファンドを見極め、それを世にアピールしていきたい。

■国内株式型 部門――情報エレクトロニクスファンド

 野村アセットマネジメント株式会社 運用部(株式グループ)シニア・ポートフォリオマネージャー 福田泰之氏

 ファンドは1984年2月に設定し、約36年の歴史がある。この間に3回のバブルを経験した。私は2011年4月、東日本大震災の翌月から運用を引き継ぎ、約9年間、運用を担当している。00年のITバブルの基準価額のピークを長らく超えらず、損失を抱えているお客様がいらっしゃることを、このファンドの背負う十字架と感じてきた。そのピークを19年12月に遂に超えられ、ようやく新しいステージに入ったことを実感していたところだ。そのタイミングでアワードも受賞できた。これから再出発のつもりで、ピークを更新し続ける運用を目指したい。

■国際株式型(グローバル) 部門――モルガン・スタンレー グローバル・プレミアム株式オープン(為替ヘッジあり)

 三菱UFJ国際投信 外部委託運用部 部長 石崎健氏

 ファンドの設定は2012年2月だが、運用を委託するモルガン・スタンレー・インベストメントの同種の運用戦略は1996年から運用実績があり、当社が採用した時には既に世界で高い評価を得ていた。世界の株式の中から、商品・サービスのブランド力やマネジメント力などに着目し、安定的なキャッシュを生み出すクオリティーの高い企業に集中投資している。そのことによって、下落局面で下値抵抗力がある点が皆様の評価につながっていると思う。約8年間の運用期間の中では、残高が伸び悩むこともあったが、今では当社を代表するファンドの一つになった。

■国際株式型(特定地域)部門――新興国ハイクオリティ成長株式ファンド『愛称:未来の世界(新興国)』

 アセットマネジメントOne株式会社 戦略運用本部 本部長 神崎茂雄氏

 国際株式型(グローバル)部門で優秀ファンド賞を受賞した「未来の世界」と当ファンド「未来の世界(新興国)」は兄弟ファンド。それぞれに市場インデックスを8~9%上回る運用成績を上げている。ともに長期の視点で銘柄を絞り込んで30銘柄程度に集中投資することが特徴。市場インデックスを構成する数千銘柄から厳選した銘柄に投資している。ファンドの運用チームは、類似戦略を運用開始した2007年から一貫したプロセスで運用している。インデックスにはまねのできない、プロに任せる運用を、このファンドを通じて体験していただきたい。

■債券型 部門――三菱UFJ/AMP グローバル・インフラ債券ファンド<為替ヘッジなし>(毎月決算型)『愛称:世界のいしずえ』

 三菱UFJ国際投信株式会社 外部委託運用部 部長 石崎健氏

 運用を委託するAMPは、オーストラリア最大規模の運用会社でインフラ投資を得意とする世界で数少ないトッププレーヤー。当ファンドは、公益、通信、運輸などインフラにかかわる企業の社債など米ドル建て投資適格債券を投資対象とし、景気に左右されにくい安定した債券ポートフォリオを構築している。銘柄選定は、トップダウンとボトムアップの両面から調査分析している。インフラサービスは、需要が安定し、景気に左右されにくく、財務体質も良好という特徴がある。また、長期の資金調達ニーズが強く、中・長期の資金運用に向いていると考えている。

5

■REIT 型 部門――Jリート・アジアミックス・オープン(資産成長型)

 三井住友DS アセットマネジメント株式会社 株式運用第一部 シニアファンドマネージャー 秋山悦朗氏

 優秀ファンド賞を受賞した「アジア好利回りリート」はアジアの経済成長の恩恵を受けるリートをピックアップし、最優秀ファンド賞の「Jリート・アジアミックス」の方は、Jリートの中でとりわけ魅力的なリート50%と、Jリートにない魅力のあるアジアリート50%をミックスしている。アジアのリートを投資対象としながら、ファンドのコンセプトに応じたきめ細かなポートフォリオが構築できるのは、アジアリートを自前で調査しているためだ。これからも、「ワンチーム」であるリート運用チームの力を合わせて引き続きパフォーマンスを追求していきたい。(画像クリックで紙面PDFにジャンプ)

■バランス(安定)型 部門――インベスコ プレミア・プラス・ファンド『愛称:真分散革命』

 インベスコ・アセット・マネジメント株式会社 リテール・マーケティング部長 青木久乃氏

 ファンドは、債券、株式、資源に投資し、いわゆるリスクパリティ型の資産配分を行い、安定的な運用成績を目指している。人生100年時代への備えとは、中・長期の運用に応えられるとともに、インフレリスクに備えることも重要な課題だと考えている。三つの投資資産のうち一つを資源に投資する当ファンドは、インフレへの備えになる。国内では運用期間が5年のファンドだが、海外では10年以上の運用実績があり、グローバルで約1.8兆円の残高がある。より豊かな人生100年のため、ぜひ多くの方々に当ファンドをご利用いただきたいと考えている。

■バランス(成長)型 部門――東京海上・世界資産バランスファンド(毎月決算型)『愛称:円奏会ワールド』

 東京海上アセットマネジメント株式会社 マルチアセット運用グループ グループリーダー 山崎晃樹氏

 当ファンドは、「円奏会」の運用スキームと同じように運用しているが、投資対象を海外の債券、株式、リートとしている。為替ヘッジを付けて年率3%程度のリスクに抑えた運用を目指している。新たに海外資産で運用する「円奏会ワールド」を追加したのは、分散投資の拡大を狙っている。二つのファンドを組み合わせることで一層の分散効果が期待できる。「老後2000万円問題」へのソリューションを提供することは、運用会社の使命だと考えている。それを商品ラインアップの面でも具体化したのが、「円奏会」と「円奏会ワールド」の組み合わせの提案だ。

■オルタナティブ型 部門――スパークス・日本株・ロング・ショート・ファンド『愛称:ベスト・アルファ』

 スパークス・アセット・マネジメント株式会社 運用調査本部 ファンド・マネージャー 常峰隆一氏

 ロング・ショート戦略で着実に収益を積み重ねる当ファンドのパフォーマンスは、私が幼いころから生家の食料品店を手伝いながらお客さまにしっかり便益を届けることを学んだこと。独立系運用会社として「良い投資・最高の投資、それを継続すること」に存在意義を見いだし、その投資をまじめに追求していることが合わさった結果だと思う。当社の勉強会は、毎早朝に社長以下の運用担当者が集まって、投資との向き合い方や本当の企業価値とは何なのかを議論している。培われた収益への強い思い、存在価値へのこだわりを持って、投資を極めたいと考えている。

https://www.morningstar.co.jp/redirect/foy2019.htm

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