米1月住宅着工件数、前月比3.6%減の156.7万戸―市場予想上回る

経済

2020/2/20 10:03

<チェックポイント>

●一戸建て急減で4カ月ぶり減少―アパートは増勢維持

●許可件数、市場予想上回る高い伸びで約13年ぶり高水準に

●一戸建て完成件数、前月比で減少し住宅供給不足再浮上

 米商務省が19日発表した1月の住宅着工件数(季節調整値)は年率換算で前月比3.6%減の156万7000戸と4カ月ぶりに減少したが、市場予想の139万戸を大幅に上回った。

 また、過去2カ月の着工件数は、19年11月分が前回発表時の137万5000戸から138万1000戸、同12月分が160万8000戸から162万6000戸と、計2万4000戸の上方改定となった。この結果、過去3カ月(19年11月-20年1月)の月平均は152万5000戸と、07年1月以来の高水準となった。

 カテゴリー別では、月ごとに変動が激しいアパート(5世帯以上)が前月比3.0%増の54万7000戸と、19年12月の53万1000戸(前月比25.8%増)から増加したものの、主力の一戸建てが同5.9%減の101万戸と、19年12月の107万3000件(同14.1%増)から減少した。

 住宅ローン金利が低水準なことに加え、良好な雇用情勢に支えられ、住宅購入者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)が改善していることから、建築業者は18年11月から手ごろな価格帯の一戸建ての着工に重点を置いてきた。ただ、今回の1月統計では一戸建ての着工件数の伸びが一服した。一戸建ての地域別では、全体の約5割を占める主力の南部が前月比12.2%減、中西部も同15.1%減と急ブレーキがかかった。ただ、全体の約3割を占める西部が同14.2%増、北東部も同3.1%増となった。

 前年比では21.4%増と、前年水準を8カ月連続で上回った。アパート(5世帯以上)が同77.6%増と高い伸びが続き、一戸建ては同4.6%増と8カ月連続で前年を上回った。

 先行指標である住宅建築許可件数は前月比9.2%増の155万1000戸と、19年12月の同3.7%減から大幅増に転じ、市場予想の146万戸に対しても大幅に上回った。

 内訳はアパートが前月比15.3%増(前月は同12%減)の52万2000戸と増加に転じ、一戸建ては同6.4%増の98万7000戸と9カ月連続で増加した。通常、一戸建ての場合、建築許可を受けてから6カ月後に着工し、2世帯以上の集合住宅の場合は1年後に着工となり時間差がある。このため、一戸建ての建築許可件数の影響は今後数カ月先に現れる。

 一方、一戸建ての完成住宅件数は前月比3.5%減の87万7000戸と3カ月連続で減少した。19年9月の85万8000戸以来4カ月ぶりの低水準で、住宅供給不足懸念が強まった。

 他方、建築中件数は一戸建てが前月比1.5%増の53万8000戸、アパート(5世帯以上)が同1.1%増の65万3000戸となったことから、全体では同1.3%増の120万3000戸と3カ月連続で増加した。

 この結果、1月の建築戸数が19年10-12月期の建築中の月平均戸数(117万1000戸)を2.7%上回り、4月29日発表予定の1-3月期GDP(国内総生産)速報値の住宅投資部門を押し上げる見通しだ。

<関連銘柄>

NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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