英・EUのFTA協議は前哨戦の漁業交渉で難航する見通し(中)

経済

2020/2/21 11:54

 英紙デイリー・テレグラフは1月24日付で、「ジョンソン英首相の協議は今後、漁業権をめぐって厳しい局面に立たされる」と警告している。フランスの主張(25年間の漁業協定)に対しては他のEU(欧州連合)加盟国も非現実的としているが、「最大で10年間の合意が望ましいとしている」としており、英国が主張するように1年ごとの見直し協議よりも長期の合意を目指すことで意見が一致している。

 EU側は英国の領海内での漁業を認めれば、英国の銀行がEUの金融市場にアクセスすることを可能にするパスポート・ルール(単一免許でEU域内での営業が可能な制度)を認めると、金融サービスの継続を人質にとるようなことも主張しているようだ。

 漁業交渉以外でも、北アイルランドと英国本国を隔てるアイリッシュ海での関税チェックについても双方の主張には大きな差があるという。たとえばリバプール(英国)からベルファースト(北アイルランド)に輸送される製品の場合、到着後か輸送中に「EUルールに従って、英国の税関職員によってチェックされるが、その際、EUの税関職員が立ち合い、英国職員に対し関税チェックを指示することができる」とEU側が主張する一方、ジョンソン首相は「アイリッシュ海では関税チェックを行う必要はない」としている。

 英放送局BBCは1月17日付電子版で、「EUとのFTAは労働者の移動が前提条件であり、経済競争を防ぐため、共通の土俵を維持するという合意の前提条件としている」と報じた。これは租税制度や企業に対する補助金、環境問題について、英国がEUルールに従うことを意味する。

 また、EUのFTA協議方針にはノンリグレッション(昔の悪い状況に戻らないことを確約する非退行)条項が含まれるが、BBCによれば、新たに非低減(non-lowering)条項が付け加えられたという。これはEUが英国との経済競争で不利にならないよう共通の土俵を維持するための措置で、租税や労働、環境、国の企業への補助金などの分野でも、どちらかがスタンダード(基準)を引き上げた場合、相手はその基準を引き下げることは許されないという厳しい内容になっているという。これはEUが基準を引き上げるたびに英国にも引き上げを求め、常に共通の土俵を維持するのが狙いとなっている。

(「下」へ続く)

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

株式新聞オリジナルアプリ

株式関連ニュース・銘柄情報に特化した株式新聞のオリジナルアプリで、
いつでも最新の情報をチェックできる便利なアプリです。

  • Google Play
  • App Store
▲ページTOPへ