英・EUのFTA協議は前哨戦の漁業交渉で難航する見通し(下)

経済

2020/2/21 11:55

 ジョンソン英首相は1月8日、首相官邸でEU(欧州連合)のフォンデアライエン欧州委員長と首相就任後初めて会談し、EUとのFTA(自由貿易協定)について、カナダがEUと結んだいわゆるカナダ方式をベースに1月末までに交渉を開始することや、財とサービスをカバーする包括協議を進めたい考えを明らかにした。

 欧州委員長は会談で、「20年末までの1年間となっている移行期間(英国のEU離脱後の影響緩和期間)を延長しなければ、新しいパートナーシップのすべての項目で合意することは困難だ」とし、「英国は以前のようなEUとの関係に近い貿易協定は結べない」とも述べ、また、「人(労働)の移動の自由が認められなければ英国と財・サービスの自由貿易協定を結ぶことはできない」と強硬姿勢を変えていない。

 しかし、ジョンソン首相は「移行期間は延長しない」としている。EUとの将来の関係でも欧州司法裁判所(ECJ)の司法ルールの合致(適用)要求を拒否しており、英国の漁業水域をコントロールし、英国の移民(入管)システムを堅持する方針を改めて強調し、EUとは対立の構図が続いている。

 英紙デイリー・テレグラフによれば、EUは年末までに英国と自由貿易協議で基本合意を目指す方針だが、国の企業に対する補助金交付や環境保護問題などに関するEUルールの適用で合意できなければ、ゼロ関税や貿易の円滑な手続きを可能にする製品規格に関する相互承認協定(MRA)を結べないとしている。

 一方、ドイツ産業連盟(BDI)のヨアヒム・ラング事務局長も1月28日のロイター通信で、「英国が移行期間延長の可能性を排除したのは重大な過ち」と批判し、その上で、「年内の実現は基本的な通商協定だけで、ゼロ関税やゼロ割り当ては盛り込めない」と懸念を示す。

 ジョンソン首相は当初、英国はEUとのFTA(自由貿易協定)協議を有利に進める狙いから、EUとの協議前にも訪米し、トランプ米大統領と二国間のFTA協議に入りたい意向だった。だが、2月13日の内閣改造で、緊縮財政派のサジド・ジャビド財務相を更迭するなど国内問題を優先せざるを得なかったことや、3月11日の新年度予算発表、中国通信機器大手ファーウェイ・テクノロジーズの英国5G(第5世代移動通信システム)通信網市場参入問題を巡る米国との対立を考慮し、首相訪米の時期が不透明となっている。

 ジョンソン首相の内憂外患はまだまだ深まりそうだ。

提供:モーニングスター社

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