<新興国eye>カンボジア政府―石炭火力発電所2カ所の建設を承認

新興国

2020/2/21 12:19

 2月7日、カンボジアの閣僚評議会は、石炭発電所2カ所の建設を承認しました。

 カンボジアの最大手の財閥であるロイヤル・グループは、中国中鋼集団(シノスチール)傘下のシノスチール・エクイップメント・アンド・エンジニアリングとの合弁事業で、コッコン州ボトゥムサコーに出力700メガワット(350メガワット×2基)の石炭火力発電所と、石炭の輸入に用いる港湾を建設する計画です。投資額は13億4000ドル(約1470億円)で、23-24年に稼働を予定し、BOO(建設・所有・運営)方式で35年間運営する計画です。

 鉱業ライセンスを有するハンセン・コール・マイン社は、カンボジア北西部でタイ国境にも近いウドンメンチェイ州トラパイン・プラサットに出力265メガワットの石炭火力発電所を建設する計画です。投資額は2億9430万ドル(約324億円)で、22年の稼働を予定し、BOO方式で25年間運営する計画です。なお、この発電所とシェムリアップ間を結ぶ230キロボルトの高圧送電線も建設する計画です。送電線建設の投資額は6150万ドル(約68億円)を見込んでいます。

 19年の乾季に大規模な計画停電に追い込まれたカンボジアでは、新しい発電所の建設計画が次々に進められています。稼働までにはまだ3-4年かかるものが多く、それまでの間、電力需給のひっ迫の可能性があるものと見られます。また、昨今の議論で、二酸化炭素を排出する石炭火力発電には逆風も吹いており、この面での対応も、カンボジアにとっては今後課題となってくるものと見られます。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。1982年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。07年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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提供:モーニングスター社

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