<新興国eye>ハンガリー中銀、政策金利を据え置き―11会合連続

新興国

2020/2/26 9:53

 ハンガリー中央銀行は25日の金融理事会で、すべての主要政策金利を据え置いた。市場の予想通りだった。

 政策金利のうち、ベース金利である3カ月物固定預金金利は過去最低の0.90%、同金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利はマイナス0.05%、上限を示す翌日物有担保貸出金利は0.90%、7日物有担保貸出金利は0.90%と、いずれも据え置かれた。

 中銀は16年3月に9カ月ぶりに利下げに踏み切り、同5月まで3会合連続で利下げしたが、同6月から据え置きに転じ、19年2月まで33会合連続で政策金利を据え置いた。翌3月に翌日物預金金利だけをマイナス0.15%から同0.05%へ0.10ポイント引き上げ、他の政策金利を現状通り据え置いたが、同4月からすべての政策金利を据え置いており、これで11会合連続の据え置きとなる。

 中銀は会合後に発表した声明文で、現状維持を決めたことについて、前回1月会合と同様、「CPI(消費者物価指数)は主に燃料と食品の上昇により一時的に伸びが加速するが、1-3月期末までに物価目標の許容レンジ内に収束し、経済予測期間の後半には物価目標の3%上昇で落ち着く可能性が高い」とした上で、コアインフレ率(間接税率の変更の影響を除くため一定税率ベースでみたコアインフレ率)についても「1-3月期は現在の水準で推移し、その後、徐々に伸びが減速する」との楽観的な見通しを示した。

 インフレ見通しに対する上ブレ・下ブレ両リスクについては、「インフレ見通しに対し両リスクがある。(国内景気の)強い内需がインフレを押し上げる一方で、外部(ユーロ圏や世界全体)の弱い経済活動はインフレを抑制している」と前回1月会合時の見方を据え置いた。

 国内景気の見通しについては、「ハンガリー経済は減速している。しかし、ユーロ圏の成長率を2%上回り続けている」とし、その上で、「20年は3.7%増、21年と22年は3.5%増となる」との経済見通しを据え置いた。ただ、中国で発生した新型コロナウイルス(COVID-19)の景気への影響ついては、「(ユーロ圏や世界の)実体経済や金融市場の先行き不透明感が今後、コロナウイルスにより一段と強まる可能性がある」と懸念を示した。

 今後の金融政策については、前回会合時と同様、「金融政策の決定は物価の安定の持続に重点を置き、引き続き金融緩和的な政策スタンスを継続する」とした。ただ、「3月に発表する四半期インフレ報告書の経済予測に基づいて、物価目標の達成に必要な金融政策措置を決める」とした上で、「もし、インフレ見通しが大きく変われば、われわれはあらゆる手段を講じる準備に入る」と述べている。ユーロ圏や世界の景気減速、新型コロナウイルスの拡大など外部要因が一段と悪化すれば、利下げが必要となる可能性に含みを残した格好だ。

 次回の金融政策決定会合は3月24日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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