<無料公開>米国株バブル崩壊か、NYダウ2352ドル安の衝撃――新型コロナで経済不安広がる
もはやバブル崩壊だ。暴落が続く米国株式市場では12日、NYダウは9日に記録したばかりの過去最大の下げ幅を早くも更新し、前日比で2352ドル(10%)値下がりした。終値は2万1200ドル。ちょうどひと月前の2月12日には史上最高値(2万9551ドル)を付けていたとは思えないほどの急降下で、世界に動揺が広がっている。
売り注文が殺到したこの日の米国市場。NYダウは、寄り付きほどなくして下落率が値幅制限に達し、9日に続いて取引を15分間停止する「サーキットブレーカー」が発動した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的規模での流行)により、トランプ米大統領が英国を除く欧州からの渡航を規制する措置を発表したことを受け、同日の日本や欧州の主要な株価指数が軒並み急落。リスクオフの勢いは加速し、NYダウの下落率は1987年10月のブラックマンデーに次ぐ大きさとなった。
今回の相場波乱を招いた新型コロナウイルスは、米大陸や欧州にも上陸して猛威を振るっている。感染者数はイタリアで1万2000人を突破し、ドイツ、フランス、スペインでも2000人台に達した。米国もニューヨークなど複数の州で非常事態宣言が発令されており、本格的な流行を阻止するため欧州からの感染者の流入ルートを遮断する構えだ。
しかし、その代償は大きい。英国を除く欧州からは、観光やビジネスで年間1000万人以上が米国を訪れる。30日間の措置ではあるが、感染拡大の状況次第では長期化する可能性もあり、EU(欧州連合)のミシェル大統領らは米国の方針に賛成しない考えを示している。こうした入国規制は経済的な影響にとどまらず、国家間の信頼関係を損なうことで世界情勢を不安定にしかねない。
もっとも、暴落劇の要因は新型コロナウイルスだけではなく、大型減税で潤った企業の巨額の自社株買いや、マネーの自国回帰を促す政策に支えられ、米国株が実態以上に高騰していたというところが大きい。
その中心にいた「GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)」と総称される巨大IT企業の昨年の株価上昇率は、アップルの86%を筆頭にフェイスブックが57%、アルファベット(グーグルの親会社)が29%、アマゾンドットコムが23%となり、フェイスブックを除く3社の時価総額が1兆ドルを突破した。ピーク時はアップル1社だけで、同時期の日本のトヨタ自動車(7203)6個分の企業価値に相当した。
ただ、こうした状況は一種のユーフォリック(陶酔)状態だったと考えられる。世界の時価総額は昨年末時点で米国株が4割を占めていたが、日本株も89年のバブル頂点でやはり4割近いシェアがあった。株安はトランプ政権の求心力を揺るがしかねず、オッズメーカーでは今年11月の大統領選挙でのトランプ大統領の再選確率が足元で急落している。
きょう13日の東京株式市場にも、リスクオフの波が押し寄せる。米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の日経平均株価先物の清算値は、1万6855円と前日の日経平均の終値(1万8559円)を1700円下回っている。日経平均先物のサーキットブレーカーは、指数が制限値幅(現在1870円)の10%の範囲外の値段で取引が1分間成立しなかった場合に発動される。つまり、先物の前日終値1万8140円に対し、1870円安の1万6270円に達した際に、その後1分間の株価が1万6460円未満のままであれば発動される。
(イメージ写真提供:123RF)
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