臨時FOMC第2弾、緊急1.00ポイント利下げを決定―08年金融危機以来のゼロ金利に
<チェックポイント>
●「新型コロナは米国など多くの国の社会・経済を混乱させている」と判断
●ゼロ金利はウイルスの影響を克服し雇用と物価目標のメドつくまで継続
●今後数カ月、量的金融緩和で新たに7000億ドルの資産買い取りへ
FRB(米連邦準備制度理事会)は15日夕(日本時間16日早朝)、緊急FOMC(米連邦公開市場委員会)を開き、新型コロナウイルスの世界的な流行による米経済の景気後退リスクを回避するため、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を1.00ポイント引き下げ、0.00-0.25%とした。また、金融システムに流動性を潤沢に供給し、金融市場の混乱を回避するため、量的金融緩和(QE)措置として、今後数カ月にわたり、新たに7000億ドルの資産買い取りを開始することも決めた。
これら一連の金融政策パッケージの決定は9対1の賛成多数だった。クリーブランド地区連銀のロレッタ・メスター総裁は0.50ポイントの利下げを主張した。
FRBは3月3日にも0.50ポイントの緊急利下げを実施したばかりで、これで2回連続の緊急利下げとなる。FRBが事実上のゼロ金利まで引き下げたのは08年の世界的な金融危機以来で、その後、ゼロ金利は7年間続いた。
市場では株式市場のメルトダウン(金融溶解)を阻止するため、FRBは2日後の17-18日の通常FOMCで0.75-1.00ポイントの引き下げを実施すると予想していたが、2度目の緊急利下げはサプライズとなった。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、米国を含め世界各国政府は財政出動による多額の景気支援策を相次いで打ち出していた。
今回の大幅利下げ前、ニューヨーク証券取引所では主要株価指数のダウ工業株30種平均は13日、9.36%高と急反発したものの、それでも直近のピーク時の2万9568ドルを20%下回り、株価のメルトダウンが続いている。
FRBは声明文で、ゼロ金利とQE拡大について、「新型コロナウイルスの世界的な流行は米国を始めとする多くの国で、社会に損害を与え、経済活動を混乱させている」とした上で、「ウイルス感染拡大の悪影響が短期的に米国の経済活動を下押しし、経済へのリスクとなる」と緊急措置であることを強調している。
また、「ゼロ金利は米経済がウイルス感染拡大の影響を克服できたと確信し、雇用の最大化と(インフレ率とインフレ期待が)シメントリック(上下が対称)な物価目標の達成に向かって進む道筋が見えるまで継続する」としている。
QEについては、既存のQE政策を継続しつつ、「今後数カ月にわたり、国債を5000億ドル、MBS(不動産担保証券)を2000億ドル買い取る」としている。これにより、銀行や機関投資家は保有する国債やMBSの売却が円滑に進めることが可能になり、長期金利の低下を促すことが期待される。13日、10年国債利回りが上昇し、長期資金の借り入れコストが上昇する懸念が強まっていた。
このほか、FRBは金融市場の安定策として、ディスカウント・ウィンドウ(FRBが金融機関に直接資金を供給する制度)の適用金利も16日から1.25ポイント引き下げ0.25%とし、融資期間も最大90日間とした。さらに、銀行の企業や世帯向けのし出しを増やすため、市中銀行が中銀に預ける準備預金の法定準備率(SRR)も26日からゼロ%に引き下げることを決めた。
また、ドルの流動性を高め、ウイルス感染拡大を受け急騰していたドル高を緩和するため、FRBがカナダ中銀やECB(欧州中央銀行)、日銀、BOE(イングランド銀行)、スイス国民銀行(中銀)とドル資金の供給を拡充することで協調。通貨スワップ協定(一定期間通貨を交換、期間終了時にあらかじめ取り決められたレートで買戻し・売りを行う取引)で適用するスワップレートも0.25ポイント引き下げ、新たな金利をドル・オーバーナイト・インデックス・スワップレートに0.25ポイント上乗せしたものにすることで合意したとしている。
<関連銘柄>
NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、
SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、
NYダウベア<2041.T>
提供:モーニングスター社
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