買い場訪れた日本(1)コロナ・ショックのつめ跡/マーケットに何が?
2020/3/19 17:32
日本株投資家を苦しめてきた新型コロナウイルスのショック(コロナ・ショック)も、ようやく最初の底らしきものが見えた。日経平均株価は1月の高値2万4115円から3月の安値1万6358円まで7757円(約32%)もの大幅な調整を余儀なくされ、ひとまずセリング・クライマックスの第一波は過ぎ去った様子。もちろん戻りの道は険しく、国内外での感染状況によっては再び恐慌ムードが呼び起こされる可能性が残る。ただ、ここから先の相場は弱気一色ではないだろう。
(イメージ画像提供:123RF)
パンデミックの足音
東京市場がコロナ・ショックによる初めての本格的な下げに見舞われたのが2月25日。ウイルスがパンデミック(世界的規模での流行)の兆しを強め、世界の新型コロナ感染者が8万人を突破した時期だ。
同日の日経平均は一時前営業日比で1000円超下落した(終値は781円安)。それまでも数百円規模の変動はみられたものの、紛れもないリスクオフ(同日の東証1部の値下がり銘柄は全体の99%)はこの時から。日本ではクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」での集団感染の問題が深刻化していた。
日経平均は同日の下げで、2万2700円どころにあった昨秋以降の下値支持線を明確に割り込んだ。以後、国内の市中感染の増加や、イタリア、韓国での爆発的なウイルスまん延などを受け、市場心理は悪化の一途をたどる。
一斉休校やイベント中止
2月28日は805円安。影響は比較的軽微とみられていた米国でも感染者が相次ぎ現れ、一度陰性と判定された患者に再び症状が出る「疑陰性」の特徴も判明し始めた。金融市場のコロナ・ショックが当初の中国から日本を含むアジア、そして欧米へと広がり世界規模での株安の流れが鮮明化した。
安倍首相は2月29日に会見を開き、全国一斉休校やイベントの中止といった感染拡大防止の取り組みへの理解を国民に求めた。また、この日から東京ディズニーリゾートの臨時休園が始まった。
一方、買いだめによる品薄状態が、それまでのマスクや消毒液からトイレットペーパーや冷凍食品へも波及していく。社会的なパニックを映した東京市場は売り優勢の展開に歯止めが掛からず、3月9日には日経平均が1050円の大幅安となり1年2カ月ぶりに2万円の大台を割り込んだ。
(上の画像クリックでチャート拡大)
リスクオフで米株バブル崩壊
このあたりで、気の早い向きからは「過剰反応」「調整完了」といった声が強まった。既に日経平均は市場で注目されていたPBR(株価純資産倍率)1倍のフシを下回り、「割安水準」に突入していたことなどがその根拠となった。
しかし、従来から、低調な収益動向とは対照的な日本株の上昇を疑問視してきた株式新聞では、潮目の変化ととらえて「目先のバリュエーション評価やテクニカル分析は無用の長物になりつつある」(3月6日の「週間展望」)と伝えている。まだ米国株が高値圏を維持していた前の週に掲げた警戒スタンスを強調した。
その後もリスクオフの展開は加速し、NYダウが3月18日までに3回にわたって日次ベースの過去最大の下げ幅を更新。16日には空前の約3000ドル安の暴落を記録すると、翌17日には2万ドルを3年1カ月ぶりに割り込み、2017年1月のトランプ米大統領就任以降の上昇分のほとんどが帳消しになった。その間、米政府が欧州からの入国制限に踏み切るなど、非常事態の様相を強めた。
日経平均、1万6000円台に
18日時点で同国の感染者が6500人を突破した新型コロナは、トランプ政権下で醸成した米株のバブルを崩壊に追い込んだ。欧州は患者数3万人を超すイタリアで2500人を上回る死者が発生し、スペインでも約1万4000人、ドイツ、フランスもそれぞれ1万人、7700人の感染が確認され、主要株価指数が大きく値下がりしている。
こうした中、ついに1万6000円台に突っ込んだ日経平均。しかし、度重なる投げ売りの末に、深掘りを続けた指数はこれまでとは異なる地層に達した。いまや日本株は、新型コロナに経済活動を押さえ込まれた米欧と比較し、市場の動揺は限定的にみえる。
もちろん日本でも外出自粛による景気悪化が懸念され、市中感染の状況も予断を許さない。それでも疑心暗鬼に満ちていたマーケットの雰囲気は変わりつつあると、株式新聞はみている。4月からは休止していたイベントやテーマパークが再開し、経済が徐々に活気を取り戻すだろう。米系投資家が金融資産の現金化を急ぐことで、為替の円安が定着しつつあることも日本株には追い風だ。
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