<無料公開>3月景気ウオッチャー調査、現状判断DIは過去最悪の14.2
内閣府が8日に発表した3月の景気ウオッチャー調査は、景気の現状判断DIが前月比13.2ポイント低下の14.2に沈んだ。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、景況感が著しくて低下している状況が示された。
震災・リーマン後の水準割り込む
同調査は景気の変化に敏感なタクシー運転手やガソリンスタンドの店員、小売店の従業員などへのアンケートに基づくもので、DIは50が景気の好不調の境目。3月の現状判断DIは、でこれまで最低だった東日本大震災後の2011年4月(23.9、季節調整済み)を大きく下回る超低水準となった。また、2~3カ月後の見通しについての先行き判断DIも、前月比5.8ポイント低下の18.8とリーマン・ショック後の低迷期の09年1月(23.8、同)を底割れした。
現状判断DIの内訳は、外出自粛ムードが強まる中で「飲食関連」が0.7(前月比15.3ポイント低下)という異常値を示したほか、「サービス関連」も7.4(同17.9ポイント低下)と初の1ケタに落ち込んだ。また、「雇用関連」のDIも同16.8ポイント低下の13.6となり、恐慌的な状況に陥りつつあることが分かる。
こうした中、政府は史上最大の108兆円規模の経済対策を発表した。収入が急減した世帯や低所得世帯への30万円の給付や児童手当増額、中小事業者や個人事業主への給付金のほか、感染終息後の観光産業の支援などをパッケージにし、実際の財政出動の規模を示す「真水」についても、リーマン・ショック時の15兆円を大きく上回る39兆円とされている。
日経平均の上昇とカイ離
ただ、一律の現金給付を見送るなどその効果には不透明感が残る。7日には緊急事態宣言が発令され、東京都のほか、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、福岡県で5月6日まで自粛要請が強化される。景況感は一段と悪化する懸念が強く、政府は追加の対策が求められそうだ。
日経平均株価は景気ウオッチャー調査の現状判断DIとの連動性が高いことで知られる。足元では需給的な動きに支えられ戻り相場を継続しているものの、実体経済の冷え込みが改めて認識されたことには注意を払う必要があるだろう。
(イメージ画像提供:123RF)
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