<新興国eye>カンボジア日本人商工会、汚職防止覚書に調印
2020/4/10 12:34
3月26日、カンボジア日本人商工会(JBAC)とカンボジア政府の汚職防止機構(ACU)は、汚職防止に関する覚書を締結しました。汚職防止機構は10年4月に、汚職防止法の公布に伴い設立された政府機関で、今回の日本人商工会との覚書締結により、連携企業・団体数は100に達するとのことです。
この覚書の内容は、日本人商工会会員企業が個別に汚職防止機構に加盟することなく商工会会員資格で汚職防止機構のサービスを利用可能、商工会として汚職反対のメッセージ発信――などとなっています。なお、商工会として汚職防止機構と覚書を締結しても、個別会員企業は法的な制約を受けないものとされています。
他方、会員が個別に調印することなく、汚職防止機構のサービスを利用可能となるため、例えば、会員企業が行政における諸手続きにおいて不当な費用請求があった場合、本覚書を提示して「商工会会員であるため、要求に応えることができない」と拒否することが容易になり、また、拒否したことによって行政手続きの遅滞など業務への影響があれば、汚職防止機構に報告し、解決を要請することも可能となるとしています。
カンボジアでは、政府窓口での少額の汚職等もなかなか撲滅できない状況にあります。そうした中で、日本人商工会がカンボジア政府と協力して汚職防止に明確な態度を示すことは、大きな意義があるものと見られます。
【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。1982年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。07年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。
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提供:モーニングスター社
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