<無料公開>半導体決算は底堅さ鮮明――TIが時間外で上昇、新光電工は上方修正

米決算

2020/4/22 9:11

 金融市場では原油価格の下げ加速を受けリスクオフムードが再燃している一方、半導体関連企業の底堅い業況が目立っている。新型コロナウイルスの感染拡大により、あらゆる分野で進むリモート化の動きが支えとなり、全体的な景気悪化懸念が強まる中でも強さを示している。

◎リモート化が「特需」に

 21日に米テキサス・インスツルメンツ(TI)<TXN>が発表した1~3月決算は、売上高が33.3億ドル(約3590億円)となり前年同期比で7%減少したが、市場予想(約32億ドル)を上回った。1株利益も1.24ドル(同2%減)と落ち込みが小さく、同社の株価は同日の時間外取引で上昇している。

 新型コロナの世界的流行で経済活動が滞り、エネルギー需要の減少が原油相場を直撃した。先物が史上初めてマイナス価格に突入するなど、厳しい経済の状況を反映している。ただ、世界的な行動制限はテレワークや巣ごもり消費の拡大を通じ、半導体にとって重要なパソコンやデータ通信の「特需」をもたらした。

 TIは4~6月のガイダンスで売上高を26.1億~31.9億ドルとした。半導体をめぐっては、ファウンドリー(受託製造業者)世界最大手の台湾TSMCが1~3月売上高が前年同期を大きく上回り、年間の設備投資計画も据え置いた。半導体の微細化を支える新技術EUV(極端紫外線)の露光装置を手掛ける、ASMLホールディングス(オランダ)も受注が好調だ。

◎リスクオフでも選別買い対象に

 日本企業も、半導体パッケージ大手の新光電気工業(6967)が21日に、前2020年3月期の連結営業利益の推定値を従来の12億円から32億円(前々期比34.0%減)に大きく増額した。精密部品加工のマルマエ(6264)は半導体分野の受注が3月末時点で1年半ぶりの高水準となっている。EUV向けにマスク欠陥検査装置を展開するレーザーテック(6920)は、既にコロナ・ショックによる株価下落を埋め戻し、直近で上場来高値を更新した。

 21日の米国市場ではリスク回避の動きが強まり、ハイテク株で構成するナスダック総合指数が前日比で3.5%の大幅安となった。目先的には半導体セクターの銘柄の株価にも逆風が強まる可能性はあるが、好実態を念頭に置くべきだろう。22日には多国籍企業のSTマイクロエレクトロニクス(本社はスイス・ジュネーブ)やザイリンクスが1~3月決算を発表する。

(イメージ写真提供:123RF)

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