米4月新築住宅販売件数、前月比0.6%増の62.3万戸―市場予想上回る

経済

2020/5/27 10:28

<チェックポイント>

●新型コロナの悪影響及ぶとの市場予想に反し、3カ月ぶりに増加

●住宅価格(中央値)は前月比5.2%低下―高額物件比率が低下

●テレワーク定着を背景に5月以降の新築市場は改善―市場観測

 米商務省が26日発表した4月新築住宅販売件数(季節調整済み)は前月比0.6%増の年率換算62万3000戸と、3月の同13.7%減(改定前は15.4%減)から3カ月ぶりに増加に転じた。

 市場では、新型コロナウイルス(COVID-19)による需要減少や感染拡大防止の経済活動の抑制を受け、前月比22%減の48万5000戸と大幅減少を予想していたため、サプライズとなった。4月の販売件数が増加したのは、住宅価格が大幅に低下したことや住宅ローン金利が低下しているためだ。

 過去3カ月の販売件数の数値も改定された。3月は前回発表時の62万7000戸から61万9000戸と、8000戸の下方改定、2月も74万1000戸から71万7000戸と、2万4000戸の下方改定、1月も77万7000戸から77万4000戸と、3000戸の下方改定となった。その結果、3カ月間で計3万5000戸もの下方改定となっている。

 2-4月の月平均の販売件数は65万3000戸と、前3カ月(1-3月)の70万3000戸を下回った。

 季節要因を無視できる前年比は6.2%減と、3月の11.6%減(改定前は9.5%減)に続いて2カ月連続の減少となったが、下げ幅は縮小している。2月までは9カ月連続で前年水準を上回っていた。

 販売件数の内訳を見ると、着工前の販売件数は前月比26.5%増の18万6000戸と、3月の同24.6%減(改定前は9.0%減)から3カ月ぶりに増加に転じ、2月(19万5000戸)以来2カ月ぶりの高水準となった。また、建築中の新築住宅の販売件数は同0.5%減の22万1000戸と、3月の同9.8%減(同15.8%減)に続いて3カ月連続の減少となった。

 4月の住宅価格は中央値(季節調整前)が前月比5.2%低下の30万9900ドルと、3月の同1.4%低下に続いて2カ月連続の低下、前年比も8.6%の大幅低下となった。

 販売価格帯をみると、30万以上の高額物件の販売比率が50%と、3月の51%を下回った一方で、15万-30万ドル未満の手ごろ物件の比率は前月の43%から45%(1年前は35%)に上昇し、安値物件にシフトした。

 地域別の販売件数は、全体の約5割を占め販売件数が最も多い南部が前月比2.4%増(前年比4.7%増)の37万9000戸と、4カ月ぶりに増加に転じた。北東部も同8.7%増(同26.5%減)の2万5000戸、中西部も同2.4%増(同26.5%増)の8万6000戸となった。一方、南部に次いで販売件数が多い西部は同6.3%減(同33.5%減)の13万3000戸と、3カ月連続で減少した。

 住宅供給面をみると、4月の新築住宅在庫(着工前や建築中の住宅を含む、季節調整値)は前月比1.8%減の32万5000戸となり、昨年12月(32万2000戸)以来4カ月ぶりの低水準となった。住宅バブル期の在庫水準(45万戸)の72%の水準にとどまっている。また、これを4月の販売ペースで計算した新築住宅の在庫水準は6.3カ月相当と、3月の6.4カ月相当を下回った。しかし、住宅建築業界が需要と供給のバランスが取れた容認可能な水準とする6カ月相当を上回っている。

 市場では新型コロナウイルス危機を背景にオンラインで日常業務のコミュニケーションを行うテレワークが定着する傾向があり、5月以降の住宅需要を押し上げ、また、今後、住宅市場の改善が進んで20年の米経済を下支えする可能性が高いとみている。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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