3月S&PコアロジックCS住宅価格指数、前年比4.4%上昇―13カ月連続過去最高を更新

経済

2020/5/27 10:30

<チェックポイント>

●20都市圏、前年比3.9%上昇に加速―市場予想上回る

●フェニックスとシアトル、シャーロット、タンパが大幅上昇

●10都市圏、前年比3.4%上昇に加速

 米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が26日発表した3月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(季節調整前)は、一戸建て中古住宅の価格動向を示す総合指数である全米住宅価格指数が前月比0.8%上昇の214.96、2月の同0.4%上昇の2倍の高い伸びとなった。季節要因を無視できる前年比も4.4%上昇と、2月の同4.2%上昇を上回り、18年12月の4.6%上昇以来、1年3カ月ぶりの高い伸びとなった。

 同指数は19年3月に5カ月ぶりに過去最高を更新して以降、これで13カ月連続の更新となった。

 市場の関心が高い主要20都市圏の価格指数(季節調整前)は前月比1.1%上昇の222.21と、2月の0.5%上昇から急加速。前年比も3.9%上昇と、2月の同3.5%上昇を上回り、市場予想(同3.4%上昇)に反して伸びが加速した。

 都市別では、20都市のうち、西部と南部で顕著な伸びとなった。フェニックスは前年比8.2%上昇と、最も高い伸びを示し、10カ月連続でトップとなった。次いで、シアトルが同6.9%上昇、シャーロットが同5.8%上昇、タンパは同5.7%上昇となっている。そのほかで高い伸びとなったのはミネアポリスの同5.3%上昇、サンディエゴの同5.2%上昇、ポートランドとアトランタがいずれも同4.9%上昇、ボストンが同4.8%上昇など。反対に低い伸びとなったのはニューヨークの同2.1%上昇とシカゴの同1.5%上昇などとなっている。今回の統計ではデトロイトだけが新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界流行)の影響で調査できなかった。

 一方、主要10都市圏の価格指数(季節調整前)は前月比1%上昇の234.83と、2月の同0.5%上昇に続いて2カ月連続の上昇。前年比も3.4%上昇と、2月の3.0%上昇から伸びが加速した。

 住宅価格の上昇が続いているのは、住宅ローン金利の低下や低失業率、所得の堅調な伸びに支えられ住宅購入需要が依然強い一方で、手ごろな価格帯の住宅在庫(供給)が不足しているため。S&P500指数を運営している米S&Pダウジョーンズ・インデックスのマネージング・ディレクター兼指数管理担当責任者であるクレイグ・ラザラ氏は、「3月統計は3月末時点の住宅価格を反映しているため、新型コロナのパンデミックの影響が強く出るのは次回4月統計の発表からになる」とし、今後のデータを注視する必要があるとしている。

 今後の見通しについて、市場ではコロナウイルスの感染拡大により住宅販売が落ち込んでいるものの、住宅販売希望者は住宅価格の下落を回避するため、市場への売り出しを減らしており、パンデミック下でも住宅価格は上昇が続く可能性があるとの見方が出ている。一方、パンデミックによる住宅市場の混乱が長期化すれば、失業者の急増で住宅需要が減少し、住宅価格もパンデミックの悪影響に抗し切れず下落する可能性があるとの見方もあり、見解が分かれている。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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