来週の東京外国為替市場見通し=米中関係の悪化を警戒、米経済指標も
予想レンジ:1ドル=105円00銭-108円30銭
5月25-29日のドル・円はもみ合い。週初25日は、欧米が祝日で取引参加者が減少、ドル・円は小幅な値動きとなった。26日は日本株やアジア株の上昇を受け、リスクオンの動きが強まり、ドル買い・円売りにつながった。その後は、香港をめぐり米中の対立が懸念されると、ドル・円は伸び悩んだ。27日は、英国のEU(欧州連合)離脱問題への不安が再燃しユーロが売られるなか、ドルは堅調に推移した。28日は、トランプ米大統領がSNSへの規制を強化する方針を示したほか、米中の対立が意識され、ドル・円の上値を抑制した。週末29日は、日本株が軟調に推移するなか、ドル売り・円買い優勢となった。
週明けは、米中関係の動向に注意したい。中国の新型コロナウイルスへの対応に加え、香港をめぐる問題で米中関係は悪化に向かっている。中国が香港での反政府的な動きを取り締まる「国家安全法制」の導入に対し、トランプ米大統領は中国に対し何らかの措置を取る方針を示しており、米中関係の悪化は避けられそうにない。新型コロナからの回復を模索するなか、米中関係が再び悪化した場合はドル・円の重しとなりそうだ。
6月1日の週は、米5月ISM製造業景況指数、米5月ADP(オートマチック・データ・プロセッシング)雇用統計、5月ISM(米サプライマネジメント協会)非製造業景況指数、米4月貿易収支、米5月雇用統計など米重要経済指標の発表が多い。新型コロナの影響で米国では失業者が大幅に増加しており、実態経済への影響は深刻。市場は指標の悪化をある程度織り込んでいるとみられるが、市場予想とのかい離が出た場合には注意したい。欧州ではECB(欧州中央銀行)理事会が開催される。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い入れ枠が拡大されるかが焦点となりそうだ。
ドル・円の上値めどは100日移動平均線や200日移動平均線が重なる108円30銭近辺。下値めどは、5月の安値105円98銭がまずは意識されるが、そこを抜ければ105円割れも想定しておきたい。
提供:モーニングスター社
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