来週の東京外国為替市場見通し=米5月雇用統計、FOMC好感されれば、3月下旬以来の111円台が視野に
予想レンジ:1ドル=107円50銭-111円50銭
1-5日のドル・円は上昇した。週初1日は、米国での白人警官による黒人暴行死事件への大規模抗議デモを嫌気し、ドル売り・円買いが進んだ。2日は世界的な株高や米長期金利を受け、ドル・円は大きく反発した。3日、米5月ADP(オートマチック・データ・プロセッシング)雇用統計や米5月ISM(サプライマネジメント協会)非製造業景況指数が市場予想ほど悪化しなかったことからドル・円は上伸、4日東京時間序盤には約2カ月ぶりに1ドル=109円台に乗せた。その後、109円を割り込む場面もあったが、ECB(欧州中央銀行)理事会で資産購入額規模の拡大、購入期間の延長が決定し、ユーロ・円が上昇すると、ドル・円もツレ高となり、5日東京時間に入っても109円台前半での値動きが続いている。
目先は5日発表の米5月雇用統計が焦点となる。前回4月統計は非農業部門雇用者数、失業率とも1930年代の世界恐慌以降で最悪の結果となったが、市場がさらなる悪化を予想していたこともあり、ドル・円への影響は限定的だった。5月統計の市場予想は非農業部門雇用者数が前月比750万人減(4月は同2,053.7万人減)と改善方向の一方、失業率は19.1%(4月は14.7%)と悪化が進むとの見方が大勢となっている。4日発表の週間の新規失業保険申請者数は9週連続で減少したが、失業保険の継続受給者は増加している。特に5月失業率は注目となりそうだ。
週明けは、米5月CPI(消費者物価指数)、9-10日にはFOMC(米連邦公開市場委員会)など重要イベントが控えている。FRB(米連邦準備制度理事会)は足元のコロナ禍からの経済活動再開を後押しする姿勢を強めるとみられ、それ自体はドル買い要因となりそうだが、足元は全米各地での抗議デモ、香港国家安全法への反発も収まっておらず、ドル売り・円買いに傾く可能性もある。
ドル・円の下値めどは2日に付けた安値近辺の107円50銭、上方向は抵抗水準を示すテクニカルラインがみられないものの、米5月雇用統計、FOMCを受けた流れ次第ではフシ目の110円を上抜ける公算が大きく、3月26日以来の111円台乗せが視野に入る。上値めどは111円50銭としておきたい。
提供:モーニングスター社
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