FOMC、政策金利と量的金融緩和を据え置き―ゼロ金利政策22年末まで継続

FOMC

2020/6/11 10:23

<チェックポイント>

●「ゼロ金利はコロナ危機克服し雇用・物価目標達成まで継続」の文言を維持

●国債買い入れ目標を月1200億ドルに設定

●景気回復には時間がかかる―パウエルFRB議長

 FRB(米連邦準備制度理事会)は10日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を現状のゼロ金利(0.00-0.25%)に据え置くことを全員一致で決めた。市場の予想通りだった。

 また、3月23日の緊急FOMCでは量的金融緩和(QE)の資産買い取りを無制限としたが、今回のFOMCでは6-7月以降の国債買い入れ額を月800億ドル、MBS(不動産担保証券)を月400億ドルの計月1200億ドルペースとすることを決めた。

 今回のFOMCでは、17人のFOMC委員による最新の経済・金融政策見通しも発表され、22年末まで政策金利を据え置く見通しを示した。それによると、FF(フェデラル・ファンド)金利水準の予測は中央値で、20年から22年まで0.1%(前回19年12月予測は20年が1.6%、21年が1.9%、22年が2.1%)と、現状維持が続く。ニュートラルな金利水準(中立金利)とする長期見通し水準は2.5%と、前回予想と変わっていない。また、レンジ予想は20年および21年が0.1%(前回は20年が1.6-1.9%、21年が1.6-2.4%)、22年は0.1-1.1%(同1.6-2.9%)となっている。

 パウエルFRB議長はFOMC後の会見で、このFOMC委員の経済予測について、景気回復は現在のゼロ金利に支えられ、20年下期(7-12月)から始まり、21年から2年間にわたって回復すると述べた。ただ、景気回復には時間がかかると慎重姿勢も示している。

 FRBは今回のFOMC後に発表した声明文で、前回FOMC時と同様、「新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界的流行)は米国だけでなく全世界の人々や経済を困難に陥れており、コロナウイルスと感染拡大から人々を守るために取られた経済抑制策が経済活動を著しく低下させ、失業を急増せている」、「短期的には経済活動や雇用、インフレに深刻な悪影響が及ぶ。中期的には今後の経済活動の見通しに相当な(景気悪化の)リスクを引き起こす」と述べ、コロナ危機の悪影響が長引き、短期的な景気下ブレリスクが中期的に及ぶとの認識を示した。

 その上で、FRBは、コロナ危機終息後も長期にわたり、ゼロ金利を継続する考えを改めて強調した。

 今回のFOMC委員によるGDP(国内総生産)見通しは、20年が6.5%減(前回予測は2.0%増)、21年は5.0%増(同1.9%増)、22年は3.5%増(同1.8%増)と、21年から回復すると予想しているが、回復ペースは緩やかだ。長期予想は1.8%増(同1.9%増)。また、失業率の見通しも20年が9.3%(同3.5%)、21年も6.5%(同3.6%)、22年も5.5%(同3.7%)と、いずれも引き上げられ、高水準が続く。長期見通しも4.1%(同4.1%)となっている。

 インフレの現状認識については、「弱い需要と著しい原油価格の低下により、消費者物価が抑制されている」とし、インフレ率が物価目標を下回り続けていることに懸念を示している。FOMC委員の最新予測(中央値)では、コアPCE(個人消費支出)物価指数は、20年が1%上昇と、前回予測の1.9%上昇を下回り、2%上昇の物価目標を大幅に下回ると指摘。21年は1.5%上昇(前回予測は2%上昇)、22年も1.7%上昇(同2%上昇)と、いずれも引き下げられ、22年までディスインフレが続くと見ている。

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提供:モーニングスター社

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