来週の東京外国為替市場見通し=米国での新型コロナ感染拡大に警戒感強まる

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2020/7/3 17:04

予想レンジ:1ドル=106円00銭-108円50銭

 6月29日-7月2日のドル・円は上昇した。週初6月29日は、米国で新型コロナウイルスの感染「第2波」が懸念され重しとなるも、ボーイング(BA)の主力小型機の運航再開観測から米株高となり、ドル・円は切り返した。30日、米6月消費者信頼感指数が市場予想を上回り、上昇。7月1日は利益確定売りに加え、中国が前日に反政府的な活動を取り締まる香港国家安全維持法を可決したことで米中対立が警戒され、下落した。2日は、米6月雇用統計が非農業部門雇用者数、失業率ともに市場予想以上に改善しドル買いとなったが、米国各地で新型コロナ感染者数が増加する中、ドル・円の上値を抑えた。

 米国で新型コロナの感染拡大が止まらず、市場は経済指標の改善にもリスクオンとはなりにくい状況にある。米国の1日の新規感染者数は5万人を超え過去最多を記録。多くの州で経済活動の再開を休止しており、米テキサス州では公共の場でのマスク着用を義務付けた。米国は週末3日が独立記念日の振替休日で3連休に入る。今後、人出が増えて感染者数が爆発的に増大することも警戒され、目先のドル・円を下押しする場面もありそうだ。

 米中関係でも火種がくすぶる。中国の香港国家安全維持法の施行をめぐり、米議会は下院、上院ともに香港の自治侵害に対する中国制裁法案を可決。同法案はトランプ米大統領が署名すれば成立することになる。中国側は反発姿勢を強めており、対抗措置に打って出れば米中貿易協議まで飛び火して対立が再燃しそう。11月の米大統領選挙を見据えるトランプ米大統領には、新型コロナや米黒人暴行死事件への対応の不手際もあり向かい風が吹いており、不安定な政治の舵取りがドル・円にも影響を及ぼしそうだ。経済指標では、米6月ISM(供給管理協会)非製造業景況指数、米6月PPI(生産者物価指数)などが発表予定。

 ドル・円はチャート上で、直近安値1ドル=106.07円(6月23日)が下値メド。一方、200日移動平均線1ドル=108.37円(7月2日基準)近辺が上値抵抗線となる。

提供:モーニングスター社

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