<新興国eye>マレーシア中銀、0.25ポイント利下げを決定―4会合連続

新興国

2020/7/8 10:37

 バンク・ネガラ・マレーシア(中銀)は7日の金融政策決定会合で、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を0.25ポイント引き下げ、過去最低の1.75%とすることを決めた。市場予想通りだった。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界的流行)がピークを過ぎ、経済活動の再開による景気回復を下支えするため、4会合連続の利下げを決めた。

 政策金利はこれまで過去最低だった、世界的な金融危機となった09年当時の2.00%をさらに下回り、04年の統計開始以降で過去最低となった。

 中銀は20年に入り、1月会合で「物価安定と経済成長の上昇軌道を確実にするための予防的措置」として、8カ月ぶりに利下げを再開したが、新型コロナのパンデミックが始まった3月会合で0.25ポイントの追加利下げを実施。前回5月会合でも0.50ポイントの大幅利下げを決めている。利下げは4会合連続で、利下げ幅は計1.25ポイントに達した。

 今回の追加利下げについて、中銀は会合後に発表した声明文で、「国内外のパンデミック封じ込め対策により、マレーシア経済は4-6月期に急激に縮小したが、5月初め(4日)以降の段階的な経済活動の再開により、4-6月期を景気の谷として回復に向かい始めた」と現状認識を示した上で、「景気回復の見通しに対するリスクは国内外の要因を考慮すると、依然、下ブレリスクだ」と景気の先行きに懸念を示した。

 中銀は景気下ブレリスクとして、第2波のパンデミックによる経済活動の自粛や失業者の増加、世界景気の悪化などを挙げている。その上で、「金融政策(金融緩和と金融市場対策)に加え、政府の財政刺激策が今後、マレーシア経済を着実に回復させていく上で大きな下支えとなる」と追加金融緩和の必要性を強調した。今後の金融政策についても、「われわれは景気回復を持続させるため、必要な金融政策手段を引き続き講じていく」と述べている。

 インフレ見通しについて、前回会合時と同様、「主に世界的な原油価格の大幅低下により、今年のインフレ率は低下圧力が高まり、マイナス圏となる可能性が高い。コアインフレ率も想定の範囲内に低下するとみられる」とデフレ懸念を示した。4月と5月のインフレ率は前年比2.9%低下となったが、中銀では20年のインフレ率の見通しを1.6%低下から0.5%上昇のレンジで予想している。

 次回会合は9月10日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 ブルサKLC<1560.T>、iSエマジン<1582.T>、アセアン50<2043.T>、

 アジア債券<1349.T>、iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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