<新興国eye>ハンガリー中銀、3カ月物固定預金金利を0.15ポイント追加利下げ

新興国

2020/7/22 11:14

 ハンガリー中央銀行は21日の金融理事会で、主要政策金利である3カ月物固定預金金利(ベース金利)を0.15ポイント引き下げ、過去最低の0.60%とすることを決めた。他の政策金利については、ベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利をマイナス0.05%、上限を示す翌日物有担保貸出金利を1.85%、さらに7日物有担保貸出金利を1.85%と、いずれも据え置いた。新金利は22日から適用される。

 中銀は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界的流行)の景気への悪影響や金融市場の混乱を回避するため、4月7日の臨時会合で、ベース金利のコリドーをシメントリック(上下対称)に広げた。コリドーの上限を示す翌日物有担保貸出金利は0.90%から1.85%に、7日物有担保貸出金利も0.90%から1.85%に、それぞれ引き上げられている。その後、4月28日の通常会合と5月会合で、すべての政策金利を2会合連続で据え置き、前回6月会合でベース金利だけを0.15ポイント引き下げていた。

 中銀は会合後の声明文で、ベース金利を再利下げしたことについて、前回会合時と同様、「現在の(パンデミックという)異常な経済環境下でのわれわれの使命は、物価を安定させ、金融市場の混乱を防ぎ、政府の経済政策を支えることだ」とした上で、「6月会合でのベース金利の引き下げ効果が持続的な短期金利の低下をもたらしたが、その効果が長期金利の低下を促すことが極めて重要となる」と追加利下げの必要性を指摘している。

 景気の見通しについては、「1-3月期のGDP(国内総生産)はパンデミックの悪影響を受けながらも前年比2.2%増となったが、4-6月期はパンデミックの悪影響が最も強く及ぶため、成長率は大幅マイナスとなる可能性が高い」とした上で、「7-9月期から回復が始まり、20年全体の成長率は0.3-2%増、21年は3.8-5.1%増、22年は3.5-3.7%増になる」との予想を据え置いた。

 インフレ見通しについては、「パンデミックやハンガリー経済の成長鈍化によるディスインフレ(物価上昇率の鈍化)圧力の上昇で、20年のコアインフレ率は3.3-3.5%上昇、21年は2.6-2.7%上昇となる」とし、前回会合時の予想を据え置いた。

 4月の臨時会合で、中銀は金融市場に流動性を潤沢に供給するため流通市場で国債とMBS(不動産担保証券)を買い取る量的金融緩和(QE)策の導入を決め、5月4日から開始したが、今回の会合でも、「国債買い取りプログラムは必要に応じて実施するセーフティネットとして継続する」とQE政策を維持することも決めた。

 QEでは残存期間3年以上で、通貨フォリント建ての固定金利型国債を対象とし、銀行だけでなく、ノンバンクからも市場価格で買い取る。MBSについては、プライマリー市場(起債市場)と流通市場の両方で、これも残存期間3年以上のフォリント建て固定金利型MBSを買い取っているが、今回の会合では長期金利の低下を促すため、残存期間が15年以上の国債を一定限度買い入れることを決めた。

 次回の金融政策決定会合は8月25日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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