<新興国eye>インド準備銀行、市場予想に反し政策金利の据え置きを決定
2020/8/7 11:28
インド準備銀行(RBI)は6日の金融政策決定会合で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界大流行)による経済への悪影響を抑制し、引き続き景気回復を支援するため、流動性調節ファシリティ(LAF)の主要政策金利であるレポ金利(RBIの市中銀行への翌日物貸出金利)を4.00%に据え置くことを全員一致で決めた。市場予想は0.25ポイントの追加利下げだっただけに、サプライズとなった。
また、LAFのリバースレポ金利(市中銀行のRBIへの預金金利)を3.35%に、市中銀行が資金ひっ迫時にRBIから政府債を担保に資金を借りることができる流動性供給スキーム「MSF(マージナル・スタンディング・ファシリティー)」と公定歩合をそれぞれ4.25%に据え置いた。
RBIは19年2月に、1年半ぶりに0.25ポイントの利下げに転換し、19年だけでも10月まで5会合連続で利下げした。その結果、利下げ幅は計1.35ポイントに達したことから、同12月に利下げ効果を見るため、現状維持とし、20年2月も据え置きを決めた。しかし、その後、新型コロナのパンデミックの深刻な悪影響がインド経済に及ぶ恐れがあるとして、3月27日の緊急会合で1年1カ月ぶりに利下げ(0.75ポイント)に転じた。前回5月22日の緊急会合でも2会合連続の利下げ(0.40ポイント)を決め、利下げ幅は計1.15ポイントに達していた。
RBIは声明文で、現状維持を決めたことについて、「19年2月以降の連続利下げにより、政策金利は計2.50ポイント低下し、利下げ効果が経済に浸透している。借り入れ金利の低下につながり、金融環境がかなり改善。金融市場を介した資金の流れが良くなった」とし、「(当分の間)利下げ効果やインフレの低下を見守るため、現状維持を決めた」としている。
また、「今回の決定は経済成長を支えながら、インフレ率が物価目標(4%±2%)を中期的に達成する目標と合致する」とした。インフレ率については「6月は前年比6.1%上昇と、5月の同5.8%上昇を上回り、20年度第2四半期(7-9月)は依然高い水準となるものの、20年度下期(20年10月-21年3月)は緩やかになる」と楽観的な見通しを示している。
RBIは今後の利下げの余地について、「景気回復を支えることは金融政策の最重要課題だ。そのため、新型コロナによる経済への悪影響を緩和し、成長を回復させるために必要な限り、金融緩和スタンスを継続する」と将来の利下げ再開に含みを残した。市場では今年度末までに、あと0.50-0.75ポイントの利下げがあるとみている。
RBIのシャクティカンタ・ダス総裁は会合後、銀行の不良債権処理問題を解決するため、インド国立農業・農村開発銀行(NABARD)とインド国立住宅銀行(NHB)に対し、各500億ルピーの追加流動性を供給することや、銀行が融資債権の一部を再構築する自由裁量を認めることを明らかにした。
これはRBIが前回6月会合で、ロックダウン(都市封鎖)による企業の運転資金の借り入れ負担を軽減するため、全ての銀行に対し、企業向けタームローン(証書貸付)の元本と利息の分割返済を猶予するモラトリアム(一時停止)の終了時期を8月31日まで延長し、その期間中はデフォルト(債務不履行)と見なさない措置だが、今後、銀行はこの措置を最大2年間、自由裁量で延長することが認められる。
<関連銘柄>
上場インド<1549.T>、インドNIF<1678.T>、インドブル<2046.T>、
インドベア<2047.T>、iSエマジン<1582.T>
提供:モーニングスター社
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