<中原圭介の相場観>米株高、新型コロナの感染ペース鈍化意識――IT企業自社株買いも支えに

 米国で新型コロナウィルスの新規感染者数が減少してきた。新規感染者数(7日移動平均)は7月22日に6万7317人とピークを打った後、直近では5万人台と沈静化の動きを見せている。

 7月22日のコラムで米国の大半の州でマスク着用の義務化が進んでいることを指摘し、感染拡大が止まる兆しを指摘した通りの展開となった。ただし、この傾向をいっそう鮮明にするためには、すべての州でマスク着用の義務化が求められる。

 いずれにしても、株価の最大の下押し圧力だった新型コロナの感染拡大が収まってきているので、足元では米国株が上昇基調を強めている。勢いを支えているのは、財政出動と金融緩和の組み合わせだけではない。ITハイテク企業の大規模な自社株買いと、いわゆる「ロビンフッター」と呼ばれる個人投資家層の旺盛な買いも大きな要因だ。

 とりわけナスダック総合指数のNYダウに対する優勢は、ITハイテク企業によるけた違いの自社株買いが影響している。代表格のアップル<AAPL>は4~6月期に純利益を上回る160億ドルの自社株買いを実施した。これは、同じ期間に日本企業が公表した自社株買いの合計額にも匹敵する。

 新型コロナの感染拡大へ懸念が後退している今のところ、米国株に悪材料は少ないようだ。仮にこの局面でワクチンが本当に完成すれば(ロシアのワクチン完成は信用されていない)、米国株はもう一段高するだろう。

 一方、米社会の正常化は、ITハイテク企業の収益拡大を抑えることにつながるので、ナスダック指数が大天井を付ける契機になり得ることも意識しておきたい。その時にロビンフッターはどう動くのかも注目される。

(アセットベストパートナーズ 中原圭介)

(写真:123RF)

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