<新興国eye>カンボジア海上油田開発、海上プラットホームの建設進む
2020/9/11 12:15
8月26日、カンボジア南部シアヌークビル沖の上油田鉱区ブロックAで油田開発を進めているクリスエナジーは、油田掘削に必要な海上プラットホームが完成し、8月25日に海上輸送を開始したと発表しました。このプラットホームは、米国海洋エンジニアリング大手のナショナル・オイルウェル・バーコのインドネシア子会社プロファブがバタム島の施設で19年12月から組み立てを始め、新型コロナの影響も受けたものの9カ月で完成させたものです。
ブロックAについては、当初は米国のシェブロンや日本の三井石油開発なども権益を有していましたが、現在は、シンガポール系のクリスエナジー95%、カンボジア政府5%となっています。開発のフェーズ1Aは、ブロックAのうち3083平方キロメートルで、水深50-80メートル程度と見られます。フェーズ1Aでクリスエナジーは、海上プラットホーム1基(24井)と浮体式生産バージ、さらに1.5キロのパイプラインで接続される浮体式貯蔵積出設備(FSO)を投入して、日量3万バレルの原油を生産する計画でした。現在は、縮小したミニフェーズ1Aとして、まず日量7500バレルを目指すとしています。
当初の計画では12年12月12日に商業生産が開始される見込みでした。だいぶ遅れましたが、20年末-21年初頭には、商業生産が開始される可能性が高まりました。これまでカンボジアは石油製品を全量輸入に頼っていましたので、原油の産出により、貿易収支の改善に加え、国際石油価格の変動ショックを吸収しやすい経済体質となることが期待されます。
【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。
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提供:モーニングスター社
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