<新興国eye>マレーシア中銀、政策金利を据え置き―景気回復持続で

新興国

2020/9/11 12:57

 バンク・ネガラ・マレーシア(中銀)は10日の金融政策決定会合で、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を過去最低の1.75%に据え置くことを決めた。市場の大方の予想通りだったが、一部では0.25ポイントの追加利下げを予想していた。新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的流行)がピークを過ぎ、経済活動の再開により、国内景気の回復が持続していることから金利据え置きとした。

 政策金利はこれまで過去最低だった、世界的な金融危機となった09年当時の2.00%をさらに下回り、04年の統計開始以降で過去最低となっている。

 中銀は20年に入り、1月会合で「物価安定と経済成長の上昇軌道を確実にするための予防的措置」として、8カ月ぶりに利下げを再開したが、パンデミックが始まった3月に0.25ポイントの追加利下げを実施。その後も5月と7月に利下げし、4会合連続の利下げとなっていた。利下げ幅は計1.25ポイントに達している。

 今回の現状維持の決定について中銀は、「国内の経済活動は4月を底にして回復が続いている。雇用市場や家計消費支出、貿易活動でも改善が進んでいる」とした上で、「金融政策(金融緩和と金融市場対策)とともに、政府の財政刺激策が景気回復を支えている」と指摘。会合連続の利下げが効果を上げているとの見方を示した。

 国内外のパンデミック封じ込め対策により、マレーシア経済は4-6月期に急激に縮小したが、5月4日以降の段階的な経済活動の再開により、4-6月期を景気の谷として回復に向かい始めている。

 景気回復の見通しについては、「景気回復は外需と民間支出の拡大により、21年にかけて持続していく」と見ている。ただ、前回会合時と同様、「国内外のパンデミックの先行きの不透明を考慮すると、依然、下ブレリスクだ」との見方を据え置いた。

 また、「これまでの計1.25ポイントの利下げは経済に刺激を与え続ける。経済成長とインフレの見通しを考慮すると、金融政策のスタンスは適切であり、金融緩和的となっている」とし、さらに、「引き続き、景気回復を持続させることを可能にする環境を作るため、必要に応じ、金融政策手段を講じていく」と述べ、今後は大きな変動がない限り、金融政策を据え置く考えを示した。

 次回会合は11月3日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 ブルサKLC<1560.T>、iSエマジン<1582.T>、アセアン50<2043.T>、

 アジア債券<1349.T>、iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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