<新興国eye>インドネシア中銀、政策金利を据え置き―2会合連続

新興国

2020/9/18 12:25

 インドネシア中央銀行(BI)は17日の理事会で、新型コロナのパンデミック(感染症の世界的流行)により急減速した国内経済を立て直し、ルピア相場を安定させるため、主要政策金利の1週間物リバースレポ金利を18年4月以来約2年ぶり低水準の4.00%に据え置くことを決めた。据え置きは前回8月会合に続いて、これで2会合連続。市場予想通りだった。

 また、過剰流動性を吸収するための翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)も3.25%、翌日物貸出ファシリティー金利も4.75%と、いずれも現状通りに据え置いた。

 中銀は19年7月から8カ月ぶりに利下げに転じ、同10月まで4会合連続で利下げを実施したが、その後は20年1月会合まで3会合連続で政策金利を据え置いた。しかし、パンデミックを受け、景気を支援するため、2月から利下げを再開。3月まで2会合連続で利下げを決め、さらに、6月と7月に2会合連続の利下げを決めた。20年に入って計4回の利下げにより、利下げ幅は計1.00ポイントに達している。

 中銀は会合後に発表した声明文で、政策金利を据え置いたことについて、前回会合時と同様、「今回の利下げ決定はインフレが低下する中、外部環境の安定(通貨ルピア相場の安定)を維持する必要がある」とした上で、「中銀は金融市場への潤沢な流動性供給により、景気を刺激することに金融政策の重点を置いている」とし、追加利下げよりも量的金融緩和にシフトしていることを指摘した。

 また、中銀は7月7日、総額903兆4600億ルピアの新型コロナ危機対策費を政府と共同で負担するため、397兆5600億ルピア(280億ドル)の新発国債の直接引き受けを含め、全体の6割超にあたる574兆4000億ルピアを負担することで合意したが、中銀は声明文で、前回会合時と同様、「パンデミック中、景気回復を一段と促進するため、政府との政策協調によるシナジー(相乗)効果を強めている。また、SBN(短期国債)の買い入れを通じ、政府の20年度予算の資金調達に協力する責務を負っている」と述べ、政府の財政健全化を支援する考えを改めて強調した。中銀は9月15日現在で、計約147兆ルピア相当のSBNを買い取ったとしている。

 ルピア相場については、「9月16日時点でルピア相場は7月末時点に比べ1.58%下落し、19年末時点からはまだ6.42%下落している。現在のルピア相場は経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)に比べ、実際よりも過小評価(アンダーバリュー)されているため、今後、インフレ率が低いことや国内資産の利回りが魅力的なこと、さらに経常赤字が低下していることから上昇する可能性がある」とし、その上で、前回会合時と同様、「市場メカニズムを守り、金融市場と外為市場に適切な流動性が供給されるよう公開市場操作(オペ)を最適化していく」とした。

 インフレについては、「パンデミックによる内需不振を受け、8月のCPI(消費者物価指数)は前年比1.32%上昇と、7月の1.54%上昇から伸びが減速している」とした上で、「インフレ率を20年と21年の物価目標(3%上昇±1%)のレンジ内に収束するよう政府との政策協調を強めていく」とした。

 次回の金融政策決定会合は10月12-13日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 アジア債券<1349.T>、iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>、

 iSエマジン<1582.T>、アセアン50<2043.T>

提供:モーニングスター社

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