<新興国eye>ハンガリー中銀、政策金利を据え置き―2会合連続

新興国

2020/9/23 10:45

 ハンガリー中央銀行は22日の金融理事会で、主要政策金利である3カ月物固定預金金利(ベース金利)を過去最低の0.60%に据え置くことを決めた。他の政策金利についても、ベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利をマイナス0.05%、上限を示す翌日物有担保貸出金利と7日物有担保貸出金利を各1.85%と据え置いた。

 中銀は新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的流行)の景気への悪影響や金融市場の混乱を抑制するため、4月7日の臨時会合でベース金利のコリドーの上限を示す翌日物有担保貸出金利と7日物有担保貸出金利をいずれも0.90%から1.85%に引き上げた。これは銀行が資金を中銀に預けるよりもインターバンク市場で積極的に運用(貸し出し)することを促し、市場の流動性供給を高めることを狙った措置。その後、4月28日の通常会合と5月会合で、すべての政策金利を据え置いたが、6月と7月にベース金利だけを各0.15%、2会合連続で引き下げた。前回8月会合ではすべての政策金利を据え置いており、これで2会合連続の据え置きとなる。

 中銀は政策金利を据え置いたことについて、前回会合時と同様、「われわれの使命は、物価を安定させ、金融市場の混乱を防ぎ、政府の経済政策を支えることだ」とした上で、「現在の0.60%のベース金利の水準は物価や金融市場を安定させ、景気回復を持続させることに寄与すると判断した」と述べている。また、「現在のように情勢が急変しているときには、政策金利をゼロ金利の水準から安全な距離を置くことが重要だ」と前回会合時と同様、緊急時の利下げ余地を残す必要性を示している。

 インフレの見通しについては、「8月にインフレ率が前年比3.9%上昇、コアインフレ率は同4.2%上昇となった。9月は現在の水準に近い伸びが続くが、年末までには徐々に伸びが鈍化する」とした上で、「今後数四半期、インフレ率は景気回復によるインフレ上ブレリスクと弱い需要によるディスインフレ(物価上昇率の鈍化)リスクが均衡する可能性が高い」との見方を示している。

 ただ、今回の会合で初めて、「特に、景気回復によるインフレ上昇の影響を注視する。もし、インフレ見通しに継続的な変化が見られた場合、適切な手段を講じる用意がある」との文言を使い、インフレが加速した場合には金融引き締めへ転換する可能性を示唆した。

 景気見通しについては、「ハンガリーでも新型コロナの感染者数が夏の終わりにかけて再び増加し始めた。第2波感染拡大により、景気回復は当初想定していたよりも長期化している」との見方を示した。中銀は20年のGDP(国内総生産)見通しについて、マイナス6.8-マイナス5.1%と予想。21年は4.4-6.8%に回復し、22年初めまでにパンデミック前の伸びに回復する可能性があるとしている。

 中銀は4月の臨時会合で、金融市場に流動性を潤沢供給するため、流通市場で国債とMBS(不動産担保証券)を買い入れる量的金融緩和(QE)策の導入を決め、5月4日から開始したが、前回会合時と同様、「国債買い入れプログラムは必要に応じ、実施する」とし、QE政策の据え置きも決めた。中銀は7月から残存期間15年超の国債の買い入れを行っており、「8月は国債買い入れ額を週400億フォリントに増額した」としている。

 また、中銀は今回の会合で、企業の資金調達を支援するため、9月23日から社債の買い入れスキーム(BGS)規模を現在の約6000億フォリントから約7500億フォリント(約2535億円)に引き上げることを決めた。

 次回の金融政策決定会合は10月20日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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