<新興国eye>トルコ中銀、市場予想に反し2.00ポイント利上げを決定―ソブリンリスク阻止
2020/9/25 10:43
トルコ中央銀行は24日、主要政策金利である1週間物レポ金利を8.25%から2.00ポイント引き上げ、10.25%とすることを決めた。市場の大方の予想は据え置きだった。利上げは18年9月以来2年ぶりとなる。
中銀は会合後に発表した声明文で、政策金利を据え置いたことについて、「(新型コロナウイルスの)パンデミック(感染症の世界的流行)の悪影響で大幅に落ち込んだ景気がこれまでの政府の景気刺激策や中銀の金融緩和と市場安定化の措置により回復し、インフレ率が予測を上回るペースで加速してきた」とした上で、「これまで景気回復を支えてきたディスインフレ・プロセス(インフレの鈍化基調)を続けるため、(インフレ抑制の)利上げを決めた」としている。
中銀は最近のインフレ率の動向について、「強い信用拡大の勢いと金融市場の安定を伴って、景気回復が急速に進んだ結果、インフレ率は経済予測(の標準シナリオ)よりも高くなった」とし、インフレ加速懸念を示した。トルコのインフレ率は8月が前年比11.77%上昇と、前月(7月)の11.76%上昇から伸びが加速。全体指数から値動きの激しい食品やエネルギーなどを除いたコアCPIも前年比11.03%上昇と、7月の10.25%上昇から伸びが加速し、6月の11.64%上昇以来、2カ月ぶりの高水準となっている。
その上で、「インフレ期待とインフレ見通しに対する(上ブレ)リスクを抑えるためには、8月以降、金融引き締めの措置が強化されるべきと判断した」としている。
また今回の会合でも、「ディスインフレのプロセスを維持することがソブリンリスク(国の信用リスク)を抑え、長期金利の低下、さらには景気回復を強める上で重要なカギを握る」としている。
さらに、中銀は前回会合時と同様、「ディスインフレのプロセスを維持するには、今後、慎重な金融政策運営が必要となる。こうした観点から、金融政策のスタンスはディスインフレのプロセスが続くようコアインフレ率の指標をよく見て決められ、物価と金融市場の安定を目指し、あらゆる手段を講じていく」とし、インフレ上昇リスクが高まらないよう慎重な金融政策が必要との考えを示した。
なお、中銀は8月11日、通貨リラ安の進行が輸入物価を押し上げ、インフレを加速させる要因となるため、リラ安の阻止を狙って、公開市場操作(オペ)を通じたプライマリーディーラー(中銀との直接取引を認められた政府証券公認ディーラー)へのリラ建ての流動性供給の上限をゼロに引き下げ、事実上の金融引き締めに転換していた。
次回の金融政策決定会合は10月22日に開かれる予定。
<関連銘柄>
iS新興国<1362.T>、上場MSエマ<1681.T>
提供:モーニングスター社
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